皆さん魚は好きですか?
昨今の日本では若者の魚離れなんて言葉もささやかれて久しいと思います。
事実日本人の魚の消費量は年々減少傾向にあるそうで、食生活やライフスタイルの多様化なども影響しここ十数年は魚消費量世界一の座を中国に明け渡しています。
ただそれでも世界で3番目に魚を食べているという実情ではあり、食文化にしっかりと魚が根付いているのが分かりますね。
今回は魚を食べた時に起きるヒスタミン中毒についてお伝えしていきます。
魚によるヒスタミン食中毒
ヒスタミンって何?
魚を食べた時に蕁麻疹や、顔が火照ったり、赤くなるなんてことがありませんか?魚やその加工品を食べた時にそういったアレルギーのような症状がみられるとヒスタミンによる食中毒の可能性が考えられます。
ヒスタミンとは食品中に含まれるアミノ酸の一種であるヒスチジンと呼ばれる成分がヒスタミンを生産する細菌の作用により生み出される化学物質のことです。
このヒスタミンが多く含まれる食品を食べると食中毒を起こすことが知られています。
ヒスタミン生産菌が原因
ヒスタミンは細菌によって作り出されます。その種類は様々ですが大きく分けると魚の腸管内にいる腸内細菌と海水中に存在し魚の体表表面に付着している海洋性細菌の2種類があります。
また種類によっては常温である20~40℃で増殖するタイプと低温0~10℃で増殖するタイプがそれそれ確認されています。
このヒスタミン生産菌の特徴は、その多くが魚が生きている間は増殖せずに、魚が死ぬと筋肉中にあるヒスチジンを利用してヒスタミンを作り出し始めるという点です。
基本的に魚の内外にはどのような種類であれ少なからずヒスタミンを生産する細菌が付着している可能性があるため、いかに雑菌を増殖させないようにするかが大事になります。
原因となる食品とは?
ヒスタミンの原料となるヒスチジンを多く含む食材は必然的にヒスタミン食中毒の原因となりやすいと考えられます。
ヒスチジンを多く含むのはマグロ、カジキ、イワシ、サバ、ブリ、アジ、サンマやその加工品の他に、ワインやチーズといった発酵食品も多いことが分かっています。
赤身魚の中でもマグロによるヒスタミンの食中毒が半分を占めています。これは赤身魚には沢山のヒスチジンが含まれていることと、マグロを食べる機会が多いという事も関係していると思われます。
また海外では鶏肉やチェダーチーズ、ハム等が原因となったヒスタミン食中毒の事例も起きています。
ヒスタミンの特徴
加熱しても分解しない
一度食材の中で細菌によって生成されたヒスタミンは加熱調理をしても無毒化されることはありません。これはヒスタミンが化学物質であるため熱処理が余り効果的でないためです。他の雑菌などによる食中毒と違うため注意が必要ですね。
冷蔵・冷凍でも減らない
ヒスタミンは細菌によって生成されるため低温の状態であれば細菌の活動を抑制できるためヒスタミンの増加をある程度減らすことはできます。しかしすでにできてしまっているヒスタミンは変わらないため、そのまま食べると食中毒となる場合があります。
見た目の変化や異臭などはしない
ヒスタミンはモルガン菌などのヒスタミン生産菌によって生成されますが、その過程において腐敗臭や刺激臭などの異臭を放つといったことがありません。
また腐敗やハエがたかるなどといった見た目の変化もない為外見からはヒスタミンが増えているかどうかという判断が難しいという難点も持ち合わせています。
アレルギーのような症状が出る
ヒスタミンは症状が出るのが早く食べた直後や、数時間以内に顔や口の周囲などが赤くなることがあります。また嘔吐、下痢、頭痛や蕁麻疹などのアレルギーのような症状がみられるとのことです。
ヒスタミンによる死亡例はこれまでないという事で重症化することは少ないそうですが甘く見ないようにしましょう。
発症した場合は抗ヒスタミン剤が効果的とのこと、魚を食べていて体長不調を感じたらすぐに医療機関で診てもらう事が望ましいのです。
予防のためできる事はなに?
食事中、舌に違和感を感じると注意
ヒスタミンによる症状は比較的早く出ます。食事中に舌がピリピリするといった違和感を覚えた場合は食材の中にヒスタミンが大量に増加している可能性があるため一旦食べることをやめ体調に変化がないか様子を見てみましょう。
食材はできるだけ早く食べる
生の魚を常温で放置したり、冷凍であっても長期間の保存によって食材の中にヒスタミンが増えていくことがあります。鮮度や消費期限に関わらず食材はなるべく早く食べきるようにしましょう。
特に鮮度が古い魚はヒスタミンが増えている危険があるため食べないようにしましょう。
加工食品も、冷蔵・冷凍で保存する
生魚だけでなく赤身魚の加工食材・食品も常温で放置しているとヒスタミンが増えることがあります。できる限り低温状態で保存するようにしましょう。
食材の常温放置はやめる
常温(20~30℃)が最もヒスタミン生産菌が増殖しやすい温度と言われています。使わない食材に関してはすぐに冷蔵庫などに保管し、菌が繁殖することを防ぎましょう。
他の食材に移らないように注意する
ヒスタミン生産菌は魚の体表付近に付着していることが多いと言います。調理前にしっかりと水道水で雑菌を洗い流すようにしましょう。
また調理器具の使いまわしなどによっても食材から菌が移ることがあるため注意が必要です。
魚などをさばく際にも、腸や内臓には細菌が多くいる場所です。血や飛沫が飛び散らないように注意する事と、使用済の包丁やまな板などはしっかりと洗浄しましょう。