見た目に騙されてうっかり触ると…

カツオノエボシはクラゲに似ていますが、ヒドロ虫と呼ばれる生物が多数集まって群体をなした姿です。その姿は青白く透き通ったガラス細工のような目を引く姿をしていますが触手には非常に強い毒をもっています。そのため刺されると感電時に近い鋭い痛みが襲うことから別名『デンキクラゲ』とも呼ばれています。(前述のとおりクラゲではないのだが)

保有する毒の成分はタンパク質とペプチドが主な成分とされていますが詳しくはわかっていません。これらの有毒成分は触手の表面にある刺胞と呼ばれる器官にあり、素手で触るなどして刺激を与えると刺糸が発射され、皮膚を突き破った針から毒が体内に注入されることで数時間にわたり赤い痕やミミズ腫れが生じ痛みが続くことになります。
また2度目に刺されるとアナフィラキシーショック症状を引き起こすこともあり頭痛や吐き気、呼吸困難、脈拍不整のように全身症状が現れ最悪死亡することもある危険な毒なのです。

刺された箇所に触手が残っているときに擦ったり、や真水をかけたりすると刺激を受けさらに刺胞が発射され症状が悪化することがあるためできるだけ触らないようにして海水で洗い流すようにしましょう。
※ハブクラゲやサンゴによる被害の場合は酢をかけるとよいとされているため勘違いしやすい。

陸に打ち上げられてしぼんだ状態であっても毒針は有効であるためうっかり踏みつけてしまい刺されるといった事故が起きており砂浜を素足で歩く際は注意が必要です。

基本データ
名称

カツオノエボシ
由来:浮袋が烏帽子に酷似していることから命名された。
別名 電気クラゲ(でんきくらげ)
和名 鰹の烏帽子(かつおのえぼし)
英名 Portuguese Man O’ War(ポールチュギーズ・マノォウォー)
学名 Physalia physalis(ファイサリア・フィサリス)
分類
目:クダクラゲ目
科:カツオノエボシ科
属:カツオノエボシ属
分布地 太平洋、大西洋、インド洋などに広く分布している
国内 本州以南の太平洋沿岸
大きさ 体 :約10㎝
触手:50㎝~1m
有毒成分
毒の強さ ★★★★☆☆
症状 電気を受けたような鋭い痛み、ミミズ腫れ、吐き気、呼吸困難、悪心、嘔吐、脱力感、不安感、ショック症状