普段食べている野菜にも危険な“毒”を持っているものがあります。
ジャガイモもそんな有毒成分を含んでいる野菜の一つであることをご存知でしょうか?
ジャガイモといえばフライドポテトにカレーライス、肉じゃが等々、ジャガイモを使った料理は身近に沢山ありますよね。しかし同じように毎年学校などではジャガイモによる食中毒が発生しているのです。
今回の記事ではジャガイモに含まれる天然の毒素について解説しています。
ジャガイモに含まれる毒素とは
どのような毒なのか?
ジャガイモに含まれる毒は主にソラニンやチャコニンと呼ばれる(ステロイド系アルカロイド配糖体)天然毒素です。これはジャガイモの「芽」の部分や「緑色の皮」の部分に特に多く含まれています。
「買ってきたジャガイモを長期間保管していると発芽していた」
なんていう経験一度はありませんか?実はこの状態のジャガイモを食べると危険なんですね。
食べるとどうなるの?
ジャガイモの毒が含まれている部分を大量に食べると中毒症状となり、吐き気や嘔吐、腹痛や下痢・頭痛などの症状が表れます。ひどい場合は意識障害や呼吸困難など最悪死亡することもあり得ると言います。
主に食後数十分から数時間以内に症状が表れる場合があります。ジャガイモを食べていて体調が悪くなった場合すぐに食べるのを中止しましょう。
有毒植物の食中毒件数では最も多い
ジャガイモの毒による食中毒は過去10年間の有毒植物の食中毒の発生件数では最も多い327件と発表されています。※厚生労働省自然毒のリスクプロファイル参照
予防するにはどうするの?
(1)毒のある部位を食べない
多くの毒が含まれている「芽とその周囲」「茎」「緑化した皮」の部分は食べないようにすること、それ以外の部位では未熟な小さすぎるジャガイモも食べるのは避けたほうがいいでしょう。家庭菜園などで作られた小さい個体は注意しましょう。
(2)早めに消費する
また市販のジャガイモを購入した後はなるべく早く食べきる方がいいでしょう。保存がきく食材とはいえあまり長期間放置するとジャガイモが発芽して毒素が生成されてしまう場合があるからです。特に常温では発芽しやすいため、気温が高い季節は注意しましょう。
(3)適切に保管する
ジャガイモを保管する場合は光の当たらない冷暗所に置き、水分がかからないようにする必要があります。太陽の光に当たると皮が緑色に変わり有毒物質が生成されてしまいます。ジャガイモの保管前に表面を乾燥させるにしても長時間太陽光の下に置くことは避けるべきです。またリンゴと一緒に保管することでリンゴから出るエチレンガスの影響で発芽しにくくなるという報告もあります。
(4)苦みが強いものは避ける
苦みが強いジャガイモは毒の濃度が高い場合があるため食べた時に苦み、えぐみのあるものは食べないようにしましょう。
(5)皮や芽をしっかり取り除く
調理の際は皮や芽は必ず取り除きましょう。特に緑色になっている場所は深めに除去して皮や芽ごと食べることのないように注意しましょう。
(6)熱では分解しない
調理で加熱をしても毒素は分解しない事も覚えておきましょう。またソラニン類は水に溶けやすいため、お湯の中で茹でることで毒成分が溶けだし中毒の危険性を減らせますが絶対に安全ではないので注意しましょう。
ジャガイモ豆知識
旬の時期
スーパーでは1年中見かけるので旬の時期が分かりにくいのですがジャガイモにも美味しい季節はあります。
ジャガイモの収穫時期は春(4月~6月頃)と秋(10月~12月頃)の年2回です。一般的に春に収穫されるジャガイモは新じゃがと呼ばれており、収穫されたばかりでみずみずしく香りが良いのが特徴とされています。
種類
ジャガイモはその長い歴史の中で非常に沢山の品種が開発されています。その一部を特徴を交えながら説明していきます。
男爵
日本で最も栽培されている人気の品種。形は丸く、芽の周囲の部位が深くゴツゴツしているため皮をむく際に少し手間がかかるのが難点。でんぷん保有量が多く粉質で調理するとほくほくとした触感が特徴となる。じゃがバターやコロッケ、フライドポテトなどに適しているが、逆に煮崩れしやすいため煮物には不向き
メークイン
男爵に次いで日本で栽培されている人気の品種。形は楕円形で細長い形状をしており、表面はすべすべしていて芽のくぼみが浅いため皮が向きやすく調理は楽。煮崩れしにくいので煮物料理のカレーやシチュー等に向いている品種といえる。
ホッカイコガネ
主に食品加工用のジャガイモとして栽培されている。形は長楕円形で表面の窪みが浅いため調理しやすく、メークインよりも煮崩れしにくいのが特徴。中心部が空洞になることが少なく、油で揚げた際にも茶色く変色しにくいためフレンチフライに適した品種です。ホッカイコガネは「トヨシロ」と「北海51号」の交配種でもあります。
キタアカリ
男爵と良く似ていて形状は球体でゴツゴツした印象。ただし「芽」の部分の色が赤みを帯びているため違いを見分けることができます。同様に粉質でホクホクした触感が特徴であるためじゃがバターやポテトサラダなどの料理に向いていますが、男爵以上に煮崩れしやすいため煮物料理には向いていません。
トヨシロ
スナック菓子に使われる加工用のジャガイモ。形状は卵のような形をしており表面の凸凹が浅いため皮が向きやすい品種です。粉質で糖度が低いことから油で揚げても変色しにくいという特徴を持っています。ポテトチップなどの芋を原料とするお菓子に良く使われているジャガイモでもあります。
ノーザンルビー
サツマイモのような面長の形とピンク色をした品種。中の肉質も綺麗なピンク色をしており、調理後も色が残るため鮮やかな色を生かした料理に向いています。メークインのように表面がつるつるして皮が向きやすく調理は簡単です。ほくほくした触感が特徴なのでじゃがバターやフライドポテト、サラダにも合いそうです。市場にはあまり出回らないので北海道以外では手に入りずらいかもしれませんね。
シャドークィーン
濃い紫色をした面長なジャガイモ。ノーザンルビー同様加熱調理をしても鮮やかな紫色の色素は残りますが、味は通常ジャガイモに近く見た目を楽しむような料理に使うのに向いています。触感はメークインに近くねっとりしており、煮崩れしにくいという特徴があります。普段のジャガイモ料理にシャドークィーンを使うと特別感が出せるかもしれませんね。
インカのめざめ
やや小ぶりで球形よりかは多少面長な形状をしています。果肉が鮮やかな濃い黄色をしており、サツマイモや栗のような色合いが特徴です。通常のジャガイモよりも糖度が高く甘味が強く感じられます。
煮崩れが少ないため煮物料理にも適しているほか、変色が少ないため油で揚げるフレンチフライや甘味を生かしてお菓子料理にも使えます。
こがね丸
フライ加工に適した品種。楕円形の形をしており、大粒で粉質のためホクホクした触感が特徴です。主にフレンチフライに使用されます。
ジャガイモの実?
ジャガイモにはトマトのような実がなるのをご存知でしょうか?家庭菜園などで作られた方なら見たことがあるかもしれませんね。ただしこのジャガイモの実には有毒な成分が含まれているため食べることはできません。注意してくださいね。