銀杏のイラスト

秋が深まってくると市場に出回る旬な食材の一つにギンナンがあります。この時期の新鮮なギンナンは綺麗な緑色をしており、もちもちとした触感がクセになってしまいついついお箸が止まらなくなってしまいますね。
このギンナンですが実は食べ過ぎると中毒になる危険性があるのをご存知ですか?日本中毒情報センターのホームページ上でもギンナンの食べ過ぎによる中毒事故に対する注意記事が掲載されています。

年の数以上は食べてはいけない
古くからギンナンは「歳の数以上は食べてはいけない」という言い伝えがあります。昔からその毒性は知られていたようで食べ過ぎに注意が必要だったようですね。

今回はそんな料理のお供に、おつまみに、居酒屋メニューにと色々と活躍してくれるギンナンの知られざる危険性について考察していきます。

ギンナンとは

種子が実るのはメスの木だけ

秋になれば鮮やかに黄色く色づき秋の風物詩として楽しませてくれるイチョウの木。神社やお寺以外に、街路樹としても日本各地で植えられているおなじみの木ですが、ギンナンがイチョウに実っていることを知らない人も意外と多いと聞きます。
ギンナンとはイチョウに実る果実の種子に当たる部分(正確には外皮含めて果実ではなく種)ですが、知っている方は分かると思いますがこのイチョウの実(ギンナン)がとにかく臭いのです。
そのため街路樹に植えるイチョウの木はギンナンが実らないオスの木を使用しているんだそうです。そのためイチョウの木は知っていてもギンナンが実っているところを見たことが無い方も多いのだとか。

ギンナンの臭いの原因は何?

ギンナンは「油の腐った臭い」だとか「動物の糞の臭い」「汗のよりきつくなった臭い」など何とも耐え難い悪臭を放つことでも有名です。その臭いの原因は外皮の外側に含まれている「エナント酸」「酪酸」が原因なのです。
これらは汗や足の裏の臭い、吐しゃ物等の悪臭と同一のもので、不快に感じるのは当然なんですね。

なぜあんなに臭いの?

ギンナンが臭い理由はイチョウの木にしかわかりませんが、一説によると動物に食べられないようにするためとのことです。あの悪臭によって動物が避けているのも事実ですし納得の理由です。人間は想定外だったかもしれませんが…。

食べ過ぎると危険

ビタミンB6欠乏症になる

ギンナンにはビタミンB6と非常によく似た構造をしている成分の4’-メトキシピリドキシンを含んでいます。大量に摂取することでビタミンB6の働きを阻害し、脳内の神経伝達物質の生成がうまくできずビタミンB6欠乏症になってしまうのです。

どんな症状が起きるの?

眩暈や下痢、嘔吐、呼吸困難、重症化すると痙攣等の症状が表れます。特に小さな子供ほど少ない個数で中毒になりやすく、ギンナン中毒の患者の7割が5歳以下とされています。

どのくらい食べると危険なの?

小さな子供であれば数個程度でも中毒になる危険性が考えられます。成人の大人でも40~50個程度食べて中毒にだった事例もあります。
「歳の数以上は食べてはいけない」ということわざは案外当たっているのかもしれません。
しかし正確に中毒になる数という物は、個人の体質やその時の体調なども影響するため短時間で数十個ほど食べるのはやはりやめておいた方が良いでしょう。何事もほどほどにしておきましょう。

秋から事故が増えだす

日本中毒情報センターの資料によると、9月から事故が増えだすとのこと。ちょうど旬のギンナンが市場に出回り始める時期ですので、美味しいからといって食べすぎには要注意ですね。

4’-メトキシピリドキシンは熱に強い
またギンナンに含まれる中毒の原因となる成分は熱に強く、加熱調理をしても分解されないため火を通したから安全という事はありません。

他にもある気を付けなければいけない事

ギンナンを素手で拾ってはいけない

果実(種)の表面の外皮部にはかぶれ成分とよく似た物質が含まれているため皮膚に触れるとアレルギー性の皮膚炎が起きることがあります。イチョウの木の下に落ちているギンナンの実を拾う際は必ず手袋を着用して拾いましょう。

イチョウの葉には有毒成分が含まれている

イチョウの葉にはギンコール酸と呼ばれる成分が含まれています。この成分を摂取すると腹痛や下痢を引き起こすことがあり注意が必要です。

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