アマゴ(別名:アメノウオなど)はイワナと共に川魚を代表する淡水魚でサクラマスの一種です。旬は春から初夏にかけて、一般的に市場に出回るアマゴはほぼ養殖物となります。
そんなアマゴですが天然物には寄生虫がいることをご存知でしょうか?今回はアマゴに潜む寄生虫をご紹介します。

どんな寄生虫?

アマゴにはハリガネムシと呼ばれる寄生虫がいることがあります。んん…?どこかで聞いたことがあるような名前だな?と思いませんでしたか。 そう、カマキリを水の中に入れるとお尻からウネウネと這い出して来る「あの」細いミミズ(?)のような生き物です。

子供の頃寄生虫の存在など知らずにカマキリを捕まえて遊んでいたら突然ハリガネムシが「こんにちはっ」と表れて、以降…トラウマで昆虫が苦手になる原因トップ3に入るであろう寄生虫の一匹です。

異常に長い体

ハリガネムシ(針金虫)は名前に「ムシ」と付いていますが昆虫ではありません。類線形動物門ハリガネムシ鋼ハリガネムシ科に属する生物の総称で、世界に2000種以上の種類がいるとされ、体長が数センチから1メートルになるものもいます。
脚や目などはなく単純な構造をした一本の長く黒っぽい針金のような見た目をしています。乾燥すると固くなり、ミミズのように伸縮性がないためのたうち回るような動きをし、慣れていないと非常に不気味かつ不快に感じる事でしょう。

普段は水の中で生活している?

なぜ陸上の昆虫であるカマキリに寄生しているハリガネムシが川魚のアマゴにもいるのでしょうか。それはハリガネムシが元々は水中で生活する生き物だからなのです。
ハリガネムシの成虫は水中で交尾し卵を産み、卵から出てきたハリガネムシの赤ちゃんは水生昆虫に食べられそれらを餌にする淡水魚に食べられるという食物連鎖を経てアマゴの体内に入るのです。

運よく魚から逃げ延びた昆虫の子供は体内に寄生虫を宿したままカゲロウやユスリカなどに成長し陸上で生活を始めますが、陸上でもより大型の肉食昆虫に捕食されることでカマキリなどにハリガネムシが感染していくというのが大まかなプロセスです。

アマゴの何処に寄生しているの?

ハリガネムシはアマゴの内臓(口から肛門に至る消化管内)に寄生しています。特に胃の中では淡褐色で、折り重なって見られることがしばしばあります。個体によってはこのハリガネムシが複数寄生していることもあり刺身などで食べる場合しっかりと除去する必要があります。

ヒトに感染するの?

人には寄生しないため間違って食べてしまっても健康に影響はありません。とはいってもハリガネムシを食べる勇気ある猛者はそうそういないと思います。

川釣りで捕まえた天然物の場合は高確率で寄生していると思われるため食べる際はしっかりと内臓を取り除き目視で確認したほうがいいでしょう。
もし寄生虫が苦手という方は養殖物を選ぶといいと思います。アマゴに限らず養殖の場合飼育環境が管理されているため寄生虫の心配がほとんどないのです。

ヒトの爪から侵入する?

ヒトの爪先からハリガネムシが皮膚を突き破って寄生するという都市伝説のような話が一時広まったことがありますが当然そのような恐ろしい性質を持ち合わせてはいないので安心してください。