ヒガンバナ

ヒガンバナの画像

基本データ

一般名称: ヒガンバナ
別名: 曼殊沙華(マンジュシャゲ) 天蓋花(テンガイバナ)、その他、死人花、地獄花など
和名: 曼殊沙華(まんじゅしゃげ)
英名: Lycoris、Red spider lily(レッドスパイダーリリィ)
学名: Lycoris radiata Herb.
分類: ヒガンバナ科・ヒガンバナ属
タイプ: 単子葉類・多年草
サイズ: 高さ30㎝~40㎝ 幅6㎜~8㎜
花期: 9月~10月
原産: 中国
分布地: 日本全国でみられる。
生息環境: 熱帯~亜熱帯の日当たりの良いあぜ道、土手、墓地など
入手方法: 秋口になれば何処にでも生えているため野生種を採取するのが最も簡単。園芸店でも購入することも可能。
購入価格: 500円~
花言葉: 「悲しき思い出」「あきらめ」「独立」「情熱」
誕生花: 9月20日、9月23日、11月15日

有毒成分

危険度: ⭐⭐⭐
成分: リコリン、ガランタミン
毒部: 全体
症状: 嘔吐、悪心、下痢、中枢神経の麻痺など
致死量: 一般的に2~3グラムで中毒症状が起き、約10グラムが致死量とされている。
食用: 基本は不可だが、しっかりと毒抜きをすれば可能(素人は絶対に食べてはいけない)
誤食植物: 球根がニンニクやタマネギに似ている。

ギャラリー

彼岸花の蕾
彼岸花の蕾
彼岸花大量
道端に生える彼岸花
彼岸花赤と白
白い彼岸花
彼岸花白色い花
白い彼岸花

秋になると突然生えてくる

お彼岸の時期になると土手や田んぼの畦道を真っ赤に染め上げるヒガンバナ。それまで何も生えていなかったのに翌日にはニョキニョキと芽がでてあっと言う間に一面ヒガンバナで埋め尽くされる光景は秋が来たことを実感させられますね。そんなヒガンバナには多くの別名があるのをご存知でしょうか?その数なんと数百とも1000を超えるとも言われています。曼殊沙華やリコリスのように綺麗な名前もあれば死人花や地獄花、幽霊花といったちょっぴり怖~い呼び名もあります。
ではなぜ縁起の悪い呼び名が付いているのでしょうか。実はヒガンバナには食べると人体に有毒な成分が含まれているからなんです。

ヒガンバナとは

食べると危険!?

ヒガンバナにはアルカロイド系のリコリンやガランタミンと呼ばれる毒の成分が全草に含まれています。特に地中の鱗茎(球根)には多くの毒成分が含まれており、球根一つに対して約~15㎎程度のリコリンが含まれているとされています。これはネズミであれば1500匹ほどの致死量に相当するというのですから恐ろしいとしか言いようがありません。
リコリンを摂取したことによるヒトの致死量は約30㎎/㎏と言われています。体重50㌔の成人であれば1.5gほど摂取すると危険という事でしょう。1g=1000㎎ 球根一つに約15㎎含まれている体で計算するとヒガンバナの球根を1000個は食べる必要がありそうですね。

どんな症状がでるの?

吐き気や嘔吐、下痢の他、中枢神経の麻痺など食べた量が多いと重篤な状況になることもあるので注意しましょう。特に小さな子供が面白がって口にすることも考えられるため、ヒガンバナには毒があって食べられない植物であることを教えておくと良いでしょうね。

なぜ田んぼの周りに多いのか?

ヒガンバナの多くは田んぼや墓地の周りに集中して生えていることが多いように感じませんか?しかも毎年必ず同じ場所に…それには理由があったのです。
ヒガンバナを田畑の周囲に植えることで、その毒を利用しモグラやネズミなどの害虫・害獣除けとなっているのです。墓地の周りに咲くのも同様の理由からで、遺骨を土葬したときに動物に荒らされないようにとの工夫なのです。

ヒガンバナは昔食べられていた?

救荒作物

ヒガンバナは有毒ですが、その毒性は水様性であるため水にさらすことで毒を抜くことが可能です。そして球根からは大量のでん粉がとれるため江戸時代や戦時中には救荒作物とされ、飢饉の際には食べられていたと言います。
もちろんそのまま食べると食中毒になる恐れがあるのでしっかりと正しい手順で毒抜きをする必要があります。

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身近な有毒植物たち

参考文献

  • 小松 公成.『世界文化生物大図鑑 植物Ⅱ 単子葉植物』.株式会社世界文化社,2004
  • 森 昭彦.『身近にある毒植物たち ”知らなかったではすまされない雑草、野菜、草花の恐るべき仕組み”』.SBクリエイティブ株式会社,2016
  • 奥井 真司.『毒草大百科 愛蔵版』.株式会社データハウス,2003