アサリやハマグリなどの二枚貝の殻を開けるとたまに『小さなカニ』が入っていることがありますよね。これ実はカクレガニと呼ばれるカニの仲間でれっきとした貝に寄生する寄生虫なんです。今回はそんな小さなカニのお話をしたいと思います。
どんなカニ?
二枚貝の中にいる小さなカニは、カクレガニ科(Pinnotheridae)に属するカニで日本では亜種も含めて31種ほどが確認されています。
半透明もしくは乳白色で甲羅の中央付近がオレンジっぽいのは大体オオシロピンノと呼ばれるもので、日本で最も『普通』にみられる種類のカクレガニです。
このカニ、アサリやハマグリ・カキなどの貝に寄生することで知られていて皆さん一度は見たことがあるのではないかと思います。
貝に食べられたわけではない
イメージ的に貝に食べられたカニの赤ちゃんが消化されずに残っているようにも見えますが実際は逆で、カニ自身が殻の中に入りこんで貝の食べ残しを餌として生きています。
一生を貝の中ですごすカクレガニは、貝の中で卵から孵り、貝の出水管と呼ばれる海水を出し入れする器官から海中に放出されます。海の中を漂いながらやがて別の貝を見つけて寄生するのです。
食べても大丈夫?
カクレガニは食べても全く害はありません。ただ小さい上に身もほとんどないためカニの味を期待することはできません。敢えてシャリシャリした食感を楽しむのもアリかとは思います。
ちなみにカクレガニの大きさは1㎝程度ですが寄生する貝が大きい程カニのサイズも大きくなるということもわかっています。大きなカクレガニを探して食べると案外美味しいかもしれませんね。
カクレガニの種類
- アカホシマメガニ
- ウモレマメガニ
- オオシロピンノ
- オオヨコナガピンノ
- オヨギピンノ
- カギツメピンノ
- ギボシマメガニ
- クロピンノ
- ケブカツメナシピンノ
- サザエピンノ
- シジミピンノ
- シロナマコガニ
- シロピンノ
- セスジピンノ
- ツメナシピンノ
- ニホンマメガニダマシ
- ヒラピンノ
- フジナマコガニ
- フタハピンノ
- ヘソピンノ
- ホウズキピンノ
- マメガニダマシ
- マルピンノ
- ミナミヨコガニピンノ
- ムツピンノ
- メナシピンノ
- ヤハズマメガニダマシ
- ヨコナガピンノ
- ヨコナガモドキ
- ヨコヤマメガニダマシ
- ラスバンマメガニ
カクレガニの生態
カクレガニのオスはメスの3分の一程度の大きさしかなく、主に貝の中に寄生しているのはメスになります。オスは繁殖のためだけにメスのいる貝の中に入ります。しかしそれ以外の時期にオスのカクレガニがどのように過ごしているのか詳しいことは余りわかっていないのです。