夏になると必ず発生するアニサキス食中毒の事故。普段私たちが口にしている魚にミミズのような寄生虫がいると知って魚嫌いになる方も多いと聞きます。

またアニサキスによって起きる腹痛や下痢の症状は強烈な痛みが伴うため身体的にも大きな負担となり、やはり嫌煙される大きな理由とされています。

そこで今回は日本人が食べる魚の中でも人気のあるサケに潜むアニサキスについて紹介していきたいと思います。

アニサキスってどんな生き物?

生で食べる際はアニサキスに注意しよう

普段ニュースなどで話題になるためアニサキスという名前だけは知っているけども一度も見たこともないし詳しく説明もできないという方が大半だと思います。

それもそのはずで元々寄生虫という生き物は非常に小さくヒトの目で確認するのは困難なのです。

アニサキスの生態について詳しく知る

アニサキスも例にもれず一番大きい成虫のサイズで体長10㎝程、人に感染する前の幼虫だと2~3㎝程度であり、体の色も白っぽい透明色であるためよほど注意しなければ気が付くことすらありません。そして通常魚の内臓に住み着いていることが多いため寿司や刺身、切り身などの内臓を処理した後の状態であれば口にする時点でほぼ存在していないというのも大きく関係しています。

ただし寄生先の魚が死ぬと内臓の腐敗と同時に可食部の筋肉の中へ移動し始めるため、釣り上げてから内臓の処理をしないでいると筋肉内に侵入したアニサキスをそのまま食べてしまうことになり中毒症状を引き起こしてしまいます。

こういった理由からなのか新鮮な魚ほど安全で食中毒のリスクがないとされている記事やコメントを稀に見かけますがこれは酷い間違いです。

近年では生きているうちから筋肉の中や近い場所にも潜んでいる事例が多く見つかっているため、新鮮だから安心というだけで生で食べてしまうと食中毒に当たる危険性があります。

ーー刺身用のサーモンは危険?

結論から言えばスーパーや回転寿司店で使われているサーモンはアニサキスの心配はほぼありません。というのも刺身用として売られているもののはほとんどは一度冷凍処理をしてあるため仮にアニサキスが筋肉内にいたとしても死滅しているためです。

また養殖モノのサーモンを使用している場合はさらにアニサキスの寄生リスクが下がります。これは餌や水質など衛生面がしっかりと管理された環境で育ったサーモンは自然の環境で育つよりも外部からの感染リスクが少ないためです。

寄生虫というのは最初から魚の体内にいるわけではなく、育つ過程で食べた他の生き物や水中から体の中に取り入れて感染していくからです。

そしてむしろ天然物を扱う高級寿司店などは、冷凍処理を嫌い職人の腕や目利きでアニサキスを処理している分、見逃しも起きており食中毒のリスクが高いといえます。

ーー激痛を伴う症状

写真提供:厚生労働省

運悪くアニサキスに感染してしまうと、食後数時間から一日ほどで腹痛や吐き気などに見舞われることになります。

これはアニサキスが胃や腸の壁に穴を空けて潜り込んでいるためにヒトの体がアレルギー反応を引き起こしている状態です。

非常に強烈な痛みを伴うのが特徴で、重症化すると腸閉塞などを引き起こし手術が必要となる場合もあるなど決して油断できません。

またアニサキスによるアレルギー症状は仮に加熱や冷凍処理で死滅していたとしても発症することもあるため非常に厄介なのです。

ただ逆にアニサキスを食べてしまっても必ず発症するということもなく、無症状で自然と治癒する場合もありどのような症状が現れるかは基本運任せということになります。

ー-予防するには

自分でスーパーで買って食べる場合は必ず冷凍処理されている刺身用の切り身を買いましょう。特に記載されていない場合は自己判断せずに必ず鮮魚担当の店員さんに聞いて生食可能な食材かどうか聞くと良いと思います。

大手回転寿司チェーンなどではサーモンを食べる場合は基本的に冷凍処理された食材しか使っていないので安心だと考えてよいでしょう。

ただ近年鮮度が売りの中堅所の回転寿司店ではサーモンではありませんがアニサキスの食中毒が起きることが度々報道されています。

寿司店に行って同じネタだけを食べ続けるという方は少数派だと思います。大抵は色々なネタを選ぶためサーモン以外でアニサキスに当たるという可能性は考えられます。

実際寿司店で起きたアニサキスが原因と考えられる食中毒事故で、感染していた魚まで特定できないことも多いとのこと。

ーー最後に

結局のところ絶対に大丈夫とは言い切れる根拠はどこにもありません。生魚を食べる際は生食可能かどうかを確認し、外食する場合はそのお店を信頼するしかないのが現状です。

もし食後に今まで感じたことのない腹痛が起きた場合は我慢せずにすぐ医療機関を受診しましょう。
サーモンだけに限らず生魚を食べる際はくれぐれもアニサキスにご用心を。