『サナダムシ』最近の若い方は聞いたことがない人も多いのではないでしょうか?日本では昔から寿司や刺身など生で魚を食べる習慣があるためこの寄生虫に感染していることが多かったのです。近年でもTV番組で取り上げられ、そのグロテスクな外観で話題になったこともありますね。

サナダムシとは

サナダムシの成虫 出典:東京都福祉保健局HP

サナダムシというのは「条虫全般を指す俗称」で日本では日本海裂頭条虫(にほんかいれっとうじょうちゅう)というサナダムシが最も発生頻度が高いことで知られています。

大きいもので体長10m近くまで成長し、幅約1cm、厚み1㎜程度、淡いベージュ色の細長い姿から「きしめん」に例えられることもあります。

日本では古くは奈良時代の遺跡からサナダムシの虫の卵が発見されていて、1000年以上も昔から人のお腹の中で暮らしていたということです。

ちなみにサナダムシという名前の由来は「真田紐」に似ていることからきています。

ヒトに感染するサナダムシ達

サナダムシには様々な種類がいて、感染源もサーモンだけではありません。多くの海産魚やヘビ・カエルといったゲテモノに至るまで実に沢山の動物に寄生していて、それらを食べたヒトにも感染するのです。

名前 主な感染源
日本海裂頭条虫
(Dibothriocephalus nihonkaiensis)
サクラマス、シロザケ(トキシラズ)、カラフトマス、ベニザケ、
広節裂頭条虫
(Diphyllobothrium latum)
パーチ、カワカマスなどの淡水魚、ニジマス、ギンザケ
イルカ裂頭条虫
(Diphyllobothrium stemmacephalum)
海水魚、詳細不明
太平洋裂頭条虫
(Diphyllobothrium pacificum)
不明
シャチ裂頭条虫
(Diphyllobothrium orcini)
不明
カメロン裂頭条虫
(Diphyllobothrium cameroni)
不明
スコットランド裂頭条虫
(Diphyllobothrium scoticum)
不明
アザラシ裂頭条虫
(Diphyllobothrium hians)
不明
クジラ複殖門条虫
(Diplogonoporus balaenopterae
海水魚、詳細不明
(生のシラスの疑いがある)
マンソン裂頭条虫
(Spirometra erinaceieuropaei)
ヘビ、カエル、ニワトリ、イノシシ

症状

サナダムシの幼虫を摂取するとヒトの小腸に寄生して下痢や腹痛、腹部膨満感を引き起こします。ただし本虫はアニサキスなどのように胃や腸の壁に侵入(突き破る)ようなことはないため大きさの割に症状が軽度ですむ場合が多く、自覚症状が無いということも多いとのこと。

また成長が早く1日に5~10cm程度成長し1か月もほおっておくと1mほどにもなります。トイレでお尻から便と一緒に長ーいきしめんが出てきてびっくりするのが定番だったなんてこともいわれています。

予防方法

サナダムシに感染しないために最も効果的な方法は生で食べないことです。加熱するか、もしくはいったん冷凍処理を施したものを解凍することで寄生虫を死滅させ安全に食べることができます。

  • サケやマス(特にサクラマス・カラフトマス)を生で食べないようにする。
  • 天然物よりも養殖物を選ぶ
  • マイナス20℃で24時間以上冷凍してから食べる。
  • 魚の中心部まで60℃、1分以上加熱してから食べる
  • 調理中に肉眼で寄生虫の幼虫(1~2cm程度)を取り除く。
  • 調理中は他の食材や盛り付け用のお皿等に触れないように注意する。
  • 包丁やまな板、その他調理器具は使い回しをしない。

回転寿司のサーモンは安全?

回転寿司で大人気のサーモンですが、現在食べられているものは養殖物がほとんどです。水質や餌をしっかりと管理されて育てられているため寄生虫の心配はまずないでしょう。
また天然物であっても一旦冷凍してあるためほとんどの寄生虫は死滅しています。
…ということで基本的に回転寿司で出てくるサーモンは寄生虫の心配はまずないため安心して食べることができます。

天然物で冷凍していない魚を取り扱う高級な寿司店ほど寄生虫のリスクがあるくらいですから。