ジャガイモの芽には毒があるので食べてはいけないと言うのは有名は話ですが毎年のように食中毒事故が起きているのも事実です。この記事ではジャガイモに含まれる毒の危険性と食中毒にならないための予防方法を紹介していきます。
ジャガイモの毒について
毒のある部分はどこ?
普段私達がスーパーで買ってきて食べているジャガイモには毒はありませんよね。それはジャガイモの毒はイモ本体ではなく芽もしくは緑色に変色した皮に多く含まれているからなんです。そのため食べる前にそういった部分を十分に取り除く必要があります。
また家庭菜園などで作られた未熟で小さなジャガイモの身にも毒成分が含まれていることもあり個人で栽培して食べる際には注意が必要です。
食べるとどうなる?
ジャガイモの芽や皮には天然毒であるソラニンもしくはチャコニンという成分が含まれています。これらの成分が含まれているジャガイモを食べると、吐き気や嘔吐、下痢、腹痛、頭痛、めまい、動機、痙攣、意識障害、呼吸困難などが表れ最悪場合死ぬことすらある大変危険なものです。
食べてから早いときは数分から数十分程度、遅いときは数日程度で症状が表れます。
※症状や潜伏期間に関しては個人の体調や摂取した量などで変わります。
出典:厚生労働省自然毒のリスクプロファイル
食中毒になる量は?
主に体重50㎏の成人だとソラニンやチャコニンを50㎎(0.05g)程度の摂取で中毒症状が表れ、150㎎~400㎎(0.15g~0.4g)程の摂取で死ぬ可能性もあるといいます。
子供の場合はより少なく15㎎~40㎎(0.015~0.04g)程度で食中毒になるとされています。
安全な食べ方
ジャガイモの芽をとる
ジャガイモが発芽していた場合は芽の部位を取り除くことが大切です。ただし毒素は芽の周囲にも含まれているため芽だけを取り除くのではなく周囲を含めてできるだけ深くえぐるように取り除きましょう
ジャガイモの皮をむく
皮が緑色の部位には毒素が含まれているため必ずピーラーなどで皮を処理しましょう。その時に表面からできるだけ深く、厚く皮を剥くようにしてください。
水にさらす、茹でる
ソラニン類は水に溶けやすい性質を持つために水にさらしたり、茹でたりすることで毒の成分を薄める効果が期待できます。ただしこれだけでは安全とは言い切れません。
加熱する
有毒物質であるソラニンやチャコニンは170℃以上の高温で分解するとされています。しかし確実にすべての毒素がなくなる保証はありません。
例えばジャガイモを170℃で5分間揚げた結果ソラニンやチャコニンは2割ほど減少し、210℃で5分間揚げた場合は4割程度分解されたという実験データがあります。減りはするものの完全に無くすことはできないようです。
また沸騰したお湯(150℃)程度の温度ではソラニンとチャコニンはほとんど分解しないため注意しましょう。
芽の出ない(?)ジャガイモを使う
芽の出ないジャガイモって何?と不思議に思われるでしょう。コバルトと呼ばれる金属の同位体コバルト60が放射するβ線を照射するとジャガイモの芽が出なくなるのです。そのような処理をしたイモを買うことも出できますがあまりにも特殊で流通事態が非常に少ないためおすすめはできません。
苦み・えぐみのある場合は食べない
ジャガイモを食べていて苦みやえぐみを感じた場合、有毒成分が含まれている可能性があります。そのようなときは食べるのをやめましょう。
正しい保管方法
イモに光を当てない
ジャガイモは太陽の光はもちろん、蛍光灯の光でですら光合成を行いせっせと実の中にソラニンやチャコニンを生産していきます。保管する際は光の当たらない冷暗所で保管するようにしましょう。
長期間保存しない
ジャガイモは長期の保存が可能な食材ですが環境次第では発芽しやすくなるため、大量購入は避け一度に食べきれる量を定期的に購入するようにしましょう。
イモに傷をつけない
ジャガイモに傷がつくとソラニンが増えるため、保存時は丁寧に扱い、害虫などに食べられて傷がつかないように注意しましょう。
家庭菜園の注意事項
小さいイモは食べない
家庭菜園で育てたジャガイモを食べる際、極端に小さなものは避けましょう。なぜならば未成熟のイモには実の中全体にソラニン類が含まれている可能性があるためです。
地表付近のイモは避ける
地表付近に実っているジャガイモの中には光に充てられてソラニンやチャコニンが実の中に生成されている可能性があるため食べないほうがよいでしょう。
ジャガイモ雑学
片栗粉の原料
元々片栗粉とはユリ科のカタクリという植物から採取されたデンプンのことですが、今ではジャガイモから生産されたバレイショデンプンが一般的になっています。
やはり大量生産に向くのがジャガイモだから何ですね。
フライドポテトは和製英語
ハンバーガーなどのファーストフード店でおなじみのフライドポテトですが。この言葉は日本で作られた言葉でアメリカではFrench fries(フレンチフライ)と呼びます。
トマトのような果実は猛毒
ジャガイモはナス科の植物でナスやトマトに似た花が咲きます。この花が咲き終わるとミニトマト程度の緑色の果実が実ることがあり、果実にはアルカロイド系の毒成分が多く含まれているため食べると食中毒を起こす危険があるのです。
※完全に熟すとほんのり甘いと言われていますが食用としては推奨されていないようです。
ジャガイモの果実
ジャガイモの葉にも毒
ジャガイモの葉にも毒の成分は含まれているため乾燥させて焼いた煙を吸い込むと頭痛や嘔吐といった症状が出ることがあります。相当ニッチな状況ですがジャガイモの葉を燃やす行為は避けたほうがいいでしょう。
食中毒者数No1の実力者
ジャガイモは過去10年間の有毒植物によって起きた食中毒の患者数が最も多い食べ物です。市販のジャガイモではなく、小学校や家庭菜園など個人で栽培、採取する場所で食中毒が発生しているようです。
名称 | 事故件数 | 患者数 |
ジャガイモ | 21 | 327 |
スイセン | 57 | 195 |
チョウセンアサガオ | 15 | 41 |
バイケイソウ | 15 | 33 |
クワズイモ | 15 | 30 |