クラーレノキ
一般名称 | クラーレノキ |
別名 | ストリキノス・トキシフェーラ |
和名 | – |
英名 | Strychnos toxifera |
学名 | Strychnos toxifera |
分類 | マチン科・マチン属 |
タイプ | ツル性低木 |
大きさ | – |
花期 | – |
原産国 | ベネズエラ、オリノコ河流域からギアナにかけて |
分布地 | 日本で自生、栽培共に見かけることはない。 |
生育環境 | – |
入手方法 | 国内では販売や取り扱いをしているところは無い。海外で自生している現地に行き採取するしかないだろう。 |
購入価格 | – |
花言葉 | – |
誕生花 | – |
危険度 | ★★★★★ |
有毒成分 | ツボクラリン塩化物[tubocurarine chloride] |
有毒部位 | 全草 |
中毒症状 | 筋骨格への興奮伝達を遮断し弛緩(しかん:ゆるむこと)させる。骨格筋弛緩剤、麻酔補助薬などで使われるが大量に投与すると呼吸麻痺を引き起こし窒息死する。 |
致死量 | 0.3~20㎎ |
食用部位 | 全て食べることはできない。 |
誤食部位 | – |
クラーレノキに含まれる毒
クラーレとはとある部族の言葉で「鳥殺し、鳥の毒」という意味で、昔から南米の先住民であるインディオが狩猟の際に矢毒として使っていたものです。この毒を食らった動物は筋肉が弛緩して動けなくなる効果があります。
中毒症状
クラーレノキに含まれるツボクラリンと呼ばれる有毒成分は傷口から体内に吸収されることで、神経に干渉し骨格筋(こっかくきん:一般的に筋肉とよばれているもの)への興奮伝達(こうふんでんたつ:体を動かすための情報の伝達)の邪魔をして筋肉を弛緩(しかん:緊張が解けて緩む状況、対義語は緊張)させ動けなくなり、やがて呼吸麻痺を引き起こし窒息によって死に至占めるというものです。
この時体が動かないだけで意識は残っているため(麻酔のようなもの?)徐々に自分が死んでいくのがわかるのだとか…。
このように危険な成分ですが逆に消化器官からはほとんど体内に吸収されないため口から毒を摂取しても中毒を起こすことはありません。そのためツボクラリンを使用した毒矢で仕留めた動物の肉を食べても全く問題はないということです。
薬として使われている
このツボクラリンという物質は狩猟用の毒としてだけでなく手術時などに筋弛緩薬や全身麻酔時の麻酔補助薬などに使われています。ただし現在ではこの成分の化学構造を参考として化学合成された塩化スキサメトニウムなどの化合物が使われています。
クラーレとは
元々は「ウラリ」「クラリ」「ウォーラリ」など各地の名称からウラリと名付けられていましたがのちに「クラーリ」と呼ばれるようになっています。
1744年にはクラーレの毒に関しての初めての実験がライデン大学で行われています。ただこの時点ではクラーレがどのように生成(毒を保有する元の植物や毒の調整方法等)されているのかは解明されていません。
1835年~47年にかけイギリスの探検家ションブルグ兄弟がギアナを調査中に、マクシ族が調整していたウラリの原植物を入手しこれにストリキノス・トキシフェーラと名付けました。
1850年フランスの生理学者クロードベルナールは骨格筋の興奮伝達を邪魔し筋肉を弛緩させる作用を解明しています。
19世紀末ドイツのR・ボエームはクラーレの毒を貯蔵する容器の種類によって3つの分類に分けています。
①アマゾン川流域の竹筒クラーレ
②リオ・ネグロ河流域の瓢箪クラーレ
③ギアナ、アマゾン河流域の壺クラーレ
◆ドイツの毒物学者レービンにより第四のクラーレとして④袋クラーレも分類されています。
1900年代になると一定の植物からクラーレの成分の一つd・ツボクラリンなどの有効成分が得られることが分かり、手術で使用する筋弛緩剤などとして実際、病院の治療で使用されるようになっていきます。
その後筋弛緩剤の原料となるd・ツボクラミンを生成するための植物が希少であることも理由に大量生産には向かず、この成分をベースにした合成の筋弛緩剤が開発されるようになったのです。
そして現代では麻酔補助として広く使われています。