低温調理とは

最近「低温調理」という言葉をよく見聞きするようになりました。 ネットやメディアで取り上げられることも多く注目を集めていることがわかります。

それと同時に低温調理による「食中毒事故」も急拡大中というのです。今回は低温調理に関する食中毒を紹介していきます。

ーー重要なのは中心温度

低温調理とは下処理をした食材を袋に入れ真空状態にし、温度を60~70℃程度に保ちつつ湯煎するなどで通常の加熱調理よりも低温でかつ時間をかけて行う調理方法のことです。

この方法は素材本来のうまみ味を保ちつつ柔らかくジューシーに仕上げられるという点で人気があります。また最近では各メーカーから低温調理専用の調理器具も多く発売され一般家庭でも手軽にプロ並みの味を再現することもできます。

調理自体は非常にシンプルなため今ではネットに様々なレシピが公開されていますが、中には十分に食中毒菌を死滅させることができない調理方法が載せられていることもあり問題となっています。

食中毒の原因となる細菌を死滅させるために必要な温度は「75℃以上で1分間以上」もしくは「63℃以上で30分間以上」の加熱が必要になってきます。これは素材の中心部の温度でありお湯の温度ではないということに注意です。また63℃以下だと十分な殺菌効果が見込めないという点も重要です。

ネットに掲載されている”自己流低温調理レシピ”の中には湯煎温度や加熱時間などの記載はあるものの調理する素材自体の厚みや大きさなどによって生じる微細な火の通りのムラまでは考慮されていないように見えます。

そのためレシピ通りに調理したとしても十分に中心部まで加熱しきれずに食中毒菌が死滅しない可能性があるのです。

大切なことは使用する食品素材の中心温度が目標の温度に達してから必要な時間を計測することでありそれは素材によって変わります。低温調理で食品を扱うのであればレシピ通りに従うのではなく都度食品用の中心温度計を使用して計測し、しっかりと管理することをお勧めします。

ただやはりすべての基準を満たしたからと言ってもリスクがゼロになるという事はないことは覚えておいてください。

ーー特に注意したいこと

低温調理をするにあたって注意するべき点として、色で判断してはいけないという点です。特に肉は十分に火が通っていなくても色が変化するため色だけで正確に判断することは専門家でも難しいとされています。

またお湯に入れてから肉の中心部の温度が上がるまでにはかなりの時間を要します。食材をお湯に入れてから湯煎の時間を図るのではなく、あくまでも肉の中心部の温度が既定に達してから調理時間を図る必要があります。

そして食材となる肉は部位や、大きさによっても中心部まで温度が浸透する時間が異なるため必ず料理用の温度計を使って都度確認するようにしましょう。

食中毒の原因となる細菌やウイルス、寄生虫に対する有効な温度というのはすでに決まっているため、レシピの温度設定をうのみにするのではなく自分で調べることも大事なのです。

ーーどんな危険があるの?

食材となる肉には細菌だけでなくウイルスや寄生虫が必ず存在していて、生で食べるという事はこれに感染するリスクがあるという事でもあります。

例えば飼育されている豚のほぼ100%はE型肝炎に感染していて、生の豚肉を食べることで人に感染する危険性があります。鶏肉だとカンピロバクターが最も有名だと思います。やはり不十分な加熱の肉を食べることで人に感染します。

いずれも即命に係わるというような危険な病気ではないにしろ、重症化することで甚大な被害を及ぼす可能性があるため生のリスクについて注意喚起されているのです。

最後に

低温調理は正しい知識と調理方法を守れば、食中毒のリスクを減らすことが可能です。調理前、後の手洗い、調理器具の使い分け、温度管理、調理後は速やかに食べる、といったように基本的な衛生管理を徹底し安全でおいしい料理をご家庭で楽しんでください。