寄生虫による食中毒事故といえば、数年前に大きく話題になった、芸能人のアニサキス騒動の記憶が久しい方もいらっしゃるのではないかと思います。今回は過去執筆した記事で反響の大きかった『シラスの寄生虫』について少し趣向を変えアニサキスとシラスのことを詳しく紹介していこうと思います。

生のシラスにアニサキスはいるか?

結論から言えば答えは「YES」です。ただしシラスを食べてアニサキスに感染し、食中毒を発症する可能性は極めて低いと思って大丈夫です。というのも人に危害を加えるアニサキスというのは幼虫の状態で魚の内臓や筋肉の中に潜んでいます。

そのアニサキスの幼虫は最初、体長数センチ程度のオキアミと呼ばれるプランクトンに寄生※1していてそれらを餌とする小型の魚が食べるという食物連鎖を経て徐々に感染域を拡大し成長していくのです。

※1オキアミなどのプランクトンに寄生しているアニサキスの幼虫を『第2期幼虫』といいタラやサバなどの魚に寄生している幼虫は『第3期幼虫』である。人に悪さを行うのは『第3期幼虫』の形態のときになる。

シラスも他の魚同様にプランクトンを餌とするためアニサキスの幼虫に感染することがあります。ただしシラスの様な小さな子魚ではアニサキスの幼虫は大きく成長できないため小さいままで過ごすことになります。

この状態のアニサキスは弱く、そのほとんどが水揚げされた時点で死んでしまいます。たとえ人の体内に入ったとしても生きていくことはできずに胃酸ですぐに死滅してしまうのです。

このように生のシラスを食べてもアニサキスに感染する可能性は0ではありませんが、食中毒症状を引き起こすことは非常に稀であることから過剰に心配する必要はありません。

他の寄生虫に要注意

シラスにはアニサキス以上に注意する寄生虫がいます。それが大複殖門条虫と呼ばれる寄生虫で、いわゆるサナダムシの一種です。元々クジラが固有の宿主だけありヒトに感染した場合体長が3~6mほどにもなる大型の寄生虫です。

ただ大複殖門条虫に感染しても腹痛や下痢などの症状が表れることがありますが基本的に無症状・無自覚の場合も多く下痢と一緒に虫の一部がお尻から出て初めて気が付くのが一般的なのだとか。

≪大複殖門条虫とシラスに関する記事はこちらから≫

ちりめんジャコにアニサキスはいるか?

ちりめんジャコというのはスーパーなどでパック詰めにされて売られているカラっカラに干されたシラスの商品名のことですね。これについては基本的にアニサキスの心配はありません。

ちりめんジャコの場合、沸騰したお湯で加熱処理をしているためアニサキスに限らず他の寄生虫や雑菌など有害となる生物は全て死滅しています。そのため、ちりめんジャコを食べてアニサキス症(食中毒)になることはまずありませんので、安心して食べていいでしょう。

シラスに混じっているフグの稚魚は危険?

市販のしらす干しの中にフグの幼魚や稚魚が混入していたとして自主回収をするケースが相次いで起きています。これはフグを販売するには有毒部位の除去が必須であり、それが稚魚であってもそのままで販売することは食品衛生法違反だからです。

ただフグの稚魚に含まれる程度のごく微量の毒であれば食べても健康被害の影響はなく安全であるとされています。