基本情報
危険度 ★★★★★
一般名 日本住血吸虫(にほんじゅうけつきゅうちゅう)
学名 Schistosoma japonicum(シィストウソーマ・ジャポニカム)
罹患数 世界中で約2億人以上
死亡者数 全世界で年間1~2万人が死亡
疾病名 日本住血吸虫症(にほんじゅうけつきゅうちゅうしょう)
症状  (1)感染初期 感染直後はセルカリア(幼虫)が侵入した皮膚の局所が痒みを伴う皮膚炎を生じる。
 (2)急性期 感染後5~7週頃から成虫が門脈系に達し腸管壁に産卵を開始すると、発熱、腹痛、下痢、肝腫大、水様便や粘血便などの消化器系の症状が現れる。また全身症状として貧血や食欲不振なども見られる。
 (3)慢性期 一日数千個産み落とされると言われる虫卵が重要な臓器の血管を詰まらせることで障害が起きる。最も顕著なのは肝臓で虫卵によって炎症を引き起こし最終的に肝硬変に移行する。他にも脾腫、栄養障害、重度の貧血、消化器障害なども併発しやがて死に至ることもある。また肝臓以外では脳の血管が虫卵によって塞栓するとてんかんや発作、視力障害など様々な神経症状を引き起こす。
感染経路 川、湖、沼、田んぼなどの淡水に生息し、水中で生物の皮膚を貫いて体内に侵入し経皮感染する。
寿命 ヒトの体内では約3~6年(最もさらに長い場合もあるとされている)生きるとされている。
中間宿主 ミヤイリガイ
感染動物  人獣共通感染症であり、ヒト以外にもイヌ、ネコ、ウシ、ネズミ、ブタ、ウマなど多くの野生動物、哺乳動物ににも感染することが確認されている。
分布地
  • 中国揚子江流域と南部諸地域
  • 台湾
  • 日本(広島県片山地方、福岡県筑後川下流域、山梨県甲府盆地、利根川流域、静岡県沼津地区)
  • フィリピン(ルソン、レイテ、サマール、ミンドロ島)
  • インドネシア(スラウエシ島)など
大きさ 雄成虫:体長12~20㎜ 体幅0.5㎜
雌成虫:体長25㎜ 体幅0.3㎜
形状  雌雄異体で一見線虫のような外見をしている。雄の成虫は円筒状であるが体後部は平たく鞘状、雌の成虫は円筒状で細長く楕円形の卵巣が体の中央より少し後方に1つ存在している。
治療方法 プラジカンテルの投与
予防方法 流行地では素足で水の中に入らずに長靴やゴム手袋などを着用し、素肌と水が接触しないようにする。
余談  住血吸虫というのは血液の中に寄生する吸虫という意味であり、マラリア、フィラリアと並び世界の三大寄生虫病とされている。日本は世界で初めてこの寄生虫を克服した国であり、1977年以降国内において新規の感染者は報告されていない。また1996年には正式に山梨県で終息宣言が出され、2000年には筑後川流域で撲滅宣言が出されている。