にわかに注目されているアニサキスによる食中毒。令和になってからも毎年のように目にする機会があります。ほとんどのケースが生の魚介類が原因で起きており、寿司や刺身が大好きな方には頭の痛い問題と言えます。
中でも今回は感染源として多く見られるヤリイカに関して紹介していきます。

アニサキスとは

ーー100種類以上の魚介類に寄生している

アニサキス
写真提供:厚生労働省

まず初めにアニサキスとは寄生虫の一種で、体長は2~3㎝程のミミズのような姿をしている生き物です。元々はクジラやイルカなどの海洋性哺乳類を主な宿主としており、ほかにも百数十以上にも及ぶ海の生き物に寄生していることがわかっています。

もちろんヤリイカにもアニサキスがいる可能性があります。ただすべての個体に必ず寄生しているということはなくむしろアニサキスの潜んでいるイカの方が少ないとも言えます。

特にスーパーなどで市販されているイカに関しては感染部位である内臓の処理が既にされていたり、冷凍処理によって死滅していることがほとんどであるためまず感染する必要はありません。むしろ個人で釣った新鮮なヤリイカを食べたときの方がアニサキスに当たる危険性が高いのです。

ーーアニサキスの症状

アニサキスによって引き起こされる症状は主に強烈な痛みを伴う腹痛です。これはアニサキスが胃や腸の壁に自信の体を突っ込むことによって起きる一種のアレルギー反応だといわれています。ノロウィルスなどの腹痛が吐き気を催す締め付けられるような痛みだとすれば、アニサキスのソレは差し込まれるような鋭い痛みを伴うのが特徴です。

中でも腸で起きる症状は稀にですが重症化し腸閉塞(急性腹症という)を引き起こし手術されることもあります。

しかしそんなアニサキスも元来ヒトの体の中では生きることができないため、通常であれば1週間程度で死んでしまい自然と治癒することがほとんどです。このため比較的症状が軽い場合や無自覚のまま終わるなんていう運の良い方もいるといいます。

ーー食中毒にならないために

ヤリイカを食べてアニサキスの被害を受けないためにはどうすればいいのでしょうか?個人でも可能な方法を紹介していきたいと思います。

①しっかりと加熱する

基本中の基本ですが最も効果的で安全な方法と言えます。熱を通してしまえば大抵の食中毒は回避可能です。ただし中まで60℃以上1分以上もしくは70℃以上で中心まで加熱する必要があり中途半端だと生き残ってしまう恐れがあるので注意が必要です。

②内臓を取り除く

アニサキスはヤリイカの内臓に寄生しています。従って食べる前に綺麗に処理することで取り除くことが可能なのです。しかしこの方法は確実ではなく、近年の研究結果では新鮮な状態でも筋肉に潜んでいる個体が発見されているなど報告があります。

③目視で確認する

アニサキスの幼虫は2~3㎜と小さいのですが目を凝らしてみれば動きがわかります。従って調理の段階で目視により取り除くことが可能です。しかしこの方法では見逃しが発生するばかりか手間と時間も非常にかかるためあくまでも予防対策の一つとしてでしかありません。

④細かく切り込みを入れる

触感と旨味の向上、味の乗りをよくすることで入れられることが多い切り込みですが、寄生虫を殺すのにも一役買っています。アニサキスは刺激に弱く、傷がつくとすぐに死んでしまうため切り込みを入れることが効果的なのです。

⑤冷凍処理をする

生で食べる場合最も効果的なのがこの冷凍処理なのですが、実際過程では難しかったりします。というのもアニサキスを冷凍処理によって完全に死滅させるにはマイナス20℃で24時間以上冷凍が必要です。しかし一般家庭用の冷凍庫ではマイナス18℃程のものが多くパワー不足であることが多いからなのです。

終わりに

今回紹介したアニサキスは元々ヒトには縁のない寄生虫ですが、新鮮な海の食材を手軽に食べることができるようになった現代特有の病気とも言えます。

衛生面が悪かった昔よりも身近な食中毒となったのは何とも皮肉なことですがアニサキスもヒトに悪さをするために腹痛を起こしているのではなく、本来の宿主と間違えているだけなのです。

魚には寄生虫がいるから苦手とならずに食べる側が正しい知識と方法を理解することが最も大事なのです。