厚生労働省HPで公開されている日本国内で報告された過去10年間の有毒植物・野菜による食中毒事故発生件数のデータを参照しランキング形式で紹介していきます。毎年ニュースで見かけるなじみの植物も多く入っています。
1位 スイセン
2位 ジャガイモ
3位 バイケイソウ
4位~15位までも下記でチェック↓
1位 スイセン!
事故件数:62件
中毒症状:悪心、嘔吐、下痢、発汗、頭痛、昏睡、体温低下など。
有毒成分:リコリン、タゼチン、シュウ酸カルシウム
何故か毎年のように高齢者がニラやギョウジャニンニクと間違えて食べてしまう事故が起きているスイセンの誤食。中毒事故のニュースでも完全に風物詩と化していて、誤食の事故最多というトップの座を守り続ける園芸植物です。
◇◆ちなみに主な(?)誤食理由は以下◆◇
*ニラと似ているから食べれると思った。
なぜそう思う!とツッコみたくなる理由、判断基準が小学生かというレベルです。
*八百屋が間違えて販売した。
これは情状酌量の余地がありますね(もちろん消費者側が)八百屋は完全にアウトです。そもそもどこから仕入れたの?
*知人からニラと言われてもらったのを食べた。
もう知人アレだなぁ…、性善説が通用しなくなってきているんですかね…。
*庭に自生しているものを食べたらスイセンだった。
自分で植えてもいないものをニラと思って食べたということですね、子供の頃によく言われますがなんでも口にするのはやめましょう。
2位 ジャガイモ!
事故件数:18件
中毒症状:嘔吐、下痢、眩暈、動機、意識障害、痙攣、呼吸困難、ひどい場合死ぬこともある。
有毒成分:ソラニン、チャコニン
あまりにも身近な植物過ぎて知らない人も多いと思いますがジャガイモの毒は昔から有名です。特に多いのが小学校で栽培したジャガイモを食べて児童や教師が食中毒になる集団事故が、毎年のようにおきています。これ小学生でジャガイモに毒があるなんて知っている子が一体どれだけいるんでしょうね?
ジャガイモに限りませんが、ニュースを見聞きするたび『野菜にも毒がある』ということを授業で教えておいたほうがいいと思うのは私だけでしょうか。
◇◆ジャガイモの誤食事例◆◇
*学校で栽培して収穫したジャガイモを家庭科の調理実習で使い30数人が吐き気や腹痛を訴えた。
原因は未成熟なジャガイモを調理に使ったことだそうです。正直手間でも大人(先生)がしっかりと管理するべきことですね。事故になったらモンペレベルの話じゃすまないですよ。
3位 バイケイソウ!
事故件数:18件
中毒症状:吐気、嘔吐、眩暈、痙攣、手足のしびれ、血圧低下、脱力感など重症化すると呼吸困難や意識不明など意識障害を起こし死亡することもある。
有毒成分:プロトベラトリン、ジェルビン、ベラトラミン、シクロバミン
春の山菜であるオオバギボウシやギョウジャニンニクとよく間違われて誤食される有毒植物です。バイケイソウの中毒事故のニュース事態あまり聞かないので知っている人は少ないと思いますが、時折発生しています。
◇◆バイケイソウの誤食事例◆◇
*2021年4月群馬県にて60代の男性が山菜と間違えてバイケイソウを採取、自宅でおひたしにして食べた後30分程度経過後に中毒症状がでたという事故。
幸い命に別状はなかったようですが過去に起きた誤食事故と原因が全く同じケースですね。
他にも2000年代には自分で採取したオオバギボウシを焼いて食べた後死亡する事故も起きていて、その時食べたのがバイケイソウではないかと言われていました。
こういった事故が起きると良く言われることですが、その分野の専門家でもない限り、毎年取っているとか、慣れているから程度の理由では山菜や野生の植物を食べるのはかなりリスクが高いというこは知っておきましょう。
4位 クワズイモ
事故件数:17件
中毒症状:口内の痺れや鋭い痛み、悪心、嘔吐、下痢、麻痺、皮膚炎
有毒成分:シュウ酸カルシウム
観葉植物として非常に人気があり家庭や会社の職場などで一度は目にしたことがある方も多いと思います。認知度の割にこれ自体に毒があることは余り知られていませんが、観葉植物をあえて食べようとする人もいないため誤食事故事態少な目です。
ちなみに全草に含まれるシュウ酸カルシウムはホウレンソウやタケノコにも含まれている成分なので過剰に取りすぎなければそれほど害はありません。
◇◆クワズイモの誤食事故◆◇
*2020年12月農産物直売所で販売されていた長芋を購入し自宅で食べた後に口内に痛みを発症した。
:販売所で長芋として販売されている時点で無条件に無害だと信じてしまいますよね。正直言えば消費者側ではよほど疑り深い人でなければ防ぎようがない事故じゃないでしょうか。
*2000年長崎県内のホテルで夕食に出された吸い物の中のハスイモを食べたあと口の中に激しい痛みを伴った。
:こちらも購入した食材が間違っていたパターンですね。他の事例でもクワズイモは販売者が間違って第三者に提供し中毒事故になるケースが結構見られます。
これって自己責任ではない分たちが悪い話じゃないでしょうかね…
5位 イヌサフラン
事故件数:17件
中毒症状:嘔吐、下痢、麻痺、皮膚の知覚減退、呼吸困難など重度場合死ぬこともある。
有毒成分:コルヒチン
園芸植物としてイヌサフランは非常に有名な花です。別名「裸の貴婦人」と呼ばれていて球根を机の上に置いたまま放置しておくと勝手に芽がでて育っていく手間いらずの花としても知られていますね。
イヌサフランには全草にコルヒチンと呼ばれる結構強力な毒が含まれていることもあり、中毒になった場合の症状が危険なケースが多いというのが特徴です。死亡事故も稀に起きているため間違っても口に入れたりしないようにしましょう。
◇◆イヌサフランの誤食事故◆◇
*自宅近くに生えていた野生のイヌサフランをギョウジャニンニクと勘違いして食べて食中毒になった。
*知人からイヌサフランをギョウジャニンニクとして譲り受けた夫婦が食べて夫が意識不明の重体となり後死亡した。
*自宅の庭に生えていたイヌサフランの球根をミョウガと勘違いし茹でて食べた後嘔吐や下痢などの症状を訴えた。
:他の食用できる野菜と勘違いして食べているケースが非常に多い植物です。現物と比較すれば違いが判るのですが、比較対象がないと似ているからきっと大丈夫だろうという安直な思考になりやすいのです。
どんなに慣れていても野生の植物を食べるのはリスクが伴うということは覚えておいたほうがいいですね。
6位 トリカブト
事故件数:9件
中毒症状:唇や手足の痺れ、嘔吐、下痢、腹痛、血圧低下、痙攣、呼吸不全、意識障害などによって死亡することがある。
有毒成分:アルカロイド類のアコニチン、メサコニチン、ヒパコニチンなど
最も有名な毒草、トリカブトと知っていて敢えて食べるような猛者はいないでしょう。しかし近年はかなり少なくなってきたとはいえ、年にわずかながらトリカブトによる中毒事故が起きているのも事実です。
今更説明不要だが含まれる毒の成分は猛毒で少量でも食べれば致死量に達し重症化しやすいというやっかいな特徴がある。トリカブトが自生する時期に山菜や野草を取りに行く場合は専門家並みの知識を備えたうえで十分に注意する必要がある。
◇◆トリカブトの誤食事故◆◇
*2009年高齢の夫婦がニリンソウと間違えておひたしにして食べ、全身に痺れをきたす中毒症状を起こした。
*2012年北海道でトリカブトを食べた3名のうち2名が死亡する食中毒事故が発生した。
*2021年富山市の飲食店でモミジガサと間違えてトリカブトを採取、おひたしにして提供し男女2名が食中毒を起こした。
:トリカブトの中毒事故も山菜や食用の野草と間違えて採取、誤食してしまうケースがほとんどですね。特に自分で採取したものを第三者へ提供することで被害が拡大するパターンは厄介です。
基本的に、専門家並みの知識があったとしても、個人が野山で採取した野生の植物を他人に譲ったり提供したりする行為は取り返しがつかなくなることもあるため絶対にやめておきましょう。
7位 コバイケイソウ
事故件数:4件
中毒症状:吐気、嘔吐、手足の痺れ、呼吸困難、眩暈痙攣など。重症の場合死ぬこともある。
有毒成分:プロトベラトリン、ジェルビン、ベラトラミン、シクロバミン
バイケイソウと同じ種類の植物で山菜のオオバギボウシやギョウジャニンニクと良く似ているため誤食事故が多いとされています。特に春先の新芽が芽吹く時期は見た目がそっくりで専門家でもなければ見分けが難しい場合もあります。
個人で食べる分には自己責任の範疇で終わりますが、飲食店で提供したり、知り合いに「おすそわけ」などは絶対にやめておきましょう。
8位 ヨウシュヤマゴボウ
事故件数:4件
中毒症状:腹痛、嘔吐、下痢、倦怠感など重度の場合死亡することもある。また皮膚に汁液が付くと炎症を引き起こす。
有毒成分:フィトラッカトキシン、フィトラッカゲニン(アグリコン)、フィトラッカサポニン(サポニン)
2m近い背丈に、ドス黒い赤紫のブドウ様の果実をたわわに実らせ、妙に存在感のある風貌をしているヨウシュヤマゴボウ。繁殖力が高くどこにでも発生(都会のド真ん中でも平気で巨大に育っている)しているため、名前を知らなくても写真を見れば誰もが見たことがあると感じるそんな植物です。
◇◆ヨウシュヤマゴボウの誤食事故◆◇
*70代の男性が自宅の庭に生えていたヨウシュヤマゴボウの葉をサラダにして食べて中毒症状を起こした。以前食べたときは大丈夫だったので今回も平気だと思ったとのこと
*名前にゴボウと入っているので食べられると勘違いし根を味噌漬けにして食べた後中毒症状を起こした。
:ヨウシュヤマゴボウはインパクトの強さから別の植物と間違えるということは無いようです。その代わりゴボウという名前で食用と勘違いしていたり、事前知識なしでたぶん大丈夫だろうという安易な考えで食べてしまっている傾向が多いように思えます。
9位 観賞用ヒョウタン
事故件数:3件
中毒症状:唇の痺れ、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などごく稀に死亡することもある
有毒成分:ククルビタシン
ヒョウタンと聞いて毒と結びつく人はそう多くないと思います。その認知度の割に危険性についてはほとんど知られていないという点ではジャガイモに通ずる部分がありますね。
ただヒョウタンと言えば容器や楽器など加工品としての用途がほとんどであるため一般的に食べようという発想はなかなかでないのではないでしょうか。
◇◆ヒョウタンの誤食事故◆◇
*2013年に大阪の小学校で大規模な集団食中毒が起きている。授業の一環で育てたヒョウタンを教師が希望する生徒に食べさせたという事件。これにより28名中17名が中毒症状を訴え1名が脱水症状など重症化したという。
:教師がわざと毒のあるヒョウタンを食べさせたのではなく、知らなかっただけなんだと思います。とはいえそれで済むはずもなく懲戒免職となったとのこと。
*2013年に奈良にあるホームセンターで本来食べることができないヒョウタンの苗に食べらるという旨のラベルを付けて販売し、購入者の知人が実際にその苗で育てたヒョウタンを食べて中毒を起こしたというもの。
10位 ハシリドコロ
事故件数:3件
中毒症状:悪心、嘔吐、倦怠感、幻覚など重症化すると血圧低下、昏睡、呼吸停止などで死亡することもある
有毒成分:ヒヨスチアミン、スコポラミン
山菜取りの間では有名な要注意植物で、春頃になるとフキノトウによく似た新芽を出します。個体差や芽吹いた状態など専門家でも見分けるのが困難な場合もあるそうなので中途半端な知識が通用しない厄介な植物です。もしフキノトウを採取する場合は最悪おすそ分けだけはしないようにしてください。
◇◆ハシリドコロの誤食事故◆◇
*1990年に親子連れの家族がキャンプ場近くに生えていたハシリドコロをフキノトウと勘違いして採取、油でいためて食べた後中毒症状になったという事故。
:BBQやキャンプ中に自然に生えている植物を食べて中毒になる事故は毎年起きています。基本的に専門家でもない場合はスーパーで買った食材以外は絶対に食べないようにしましょう。
11位 ユウガオ
事故件数:3件
中毒症状:唇の痺れ、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などごく稀に死亡することもある
有毒成分:ククルビタシン
9位にランクインしているヒョウタンと基本的に同じ品種の植物です。ユウガオは観賞用ヒョウタンに含まれる有毒成分ククルビタシンの保有量を少なくして食べられるように改良したヒョウタンのことです。しかし稀に毒性の強い個体が育ってしまうことがあり、それを食べた場合食中毒になるのです。
12位 スノーフレーク
事故件数:2件
中毒症状:吐気、嘔吐、頭痛など
有毒成分:リコリン、ガランタミン、タゼチンなど
スノーフレークはスズランのようなベル型の花にスイセンに似た細長く縦に伸びた葉を持ちます。その見た目からスズランズイセンと呼ばれることもあり、園芸品種の中では人気のある植物です。もうお察しの通りニラと間違われて誤食されるケースが起きています。
似ているから食べられると思った、ニラを植えた記憶はないけども庭に生えていたから採取して食べたなどは中毒事故の定番常套句です、絶対に安易な判断で野生の植物を食べるのはやめましょうね。
13位 キダチタバコ
事故件数:1件
中毒症状:頭痛、嘔吐、腹痛、下痢など
有毒成分:ニコチン(アナバシン)
南米産の植物で名前にあるようにタバコ(植物)の一種です。日本ではほとんど目にする機会はありませんが過去にこの植物の葉をみそ汁の具に入れて食べた方が中毒になっています。幸いにもその時は動悸ですんだようですが、もともとニコチンは猛毒の成分でひどい場合は死亡することもある危険なものです。くれぐれもタバコ(煙草)と同じ感覚で口に入れないようにしましょう。
14位 ヒガンバナ
事故件数:1件
中毒症状:吐気、嘔吐、下痢、脱水、心臓麻痺などまた汁液により肌がただれる
有毒成分:リコリン、ガランタミン
秋を代表する草花でもあるヒガンバナ昔から毒があることが知ら
れており、誰しも一度は親から注意を受けたことがあるのではないでしょうか?毒草としてはもっとも有名であるため誤食事故もそうそう起きていません。しかし地下にある球根をノビルと間違えて誤食じたケースがあるとのこと。
15位 タガラシ
事故件数:1件
中毒症状:誤食すると嘔吐、下痢、腹痛、胃腸炎など、肌に付くとかぶれる。
有毒成分:プロトアネモニン
タガラシと聞いてピンとくる人はかなりの植物好きだと思います。これ自体は珍しいものではなく逆に日本の田舎ならどこでも見かけることができるくらいに良く生えている雑草です。
全草に有毒成分を含んでおり、肌に直接付くとかぶれるため素手では触らないようにしましょう。
食用と間違えて食べてしまうような植物ではありませんが、そこそこ強い毒を持つので子供が遊びで口に入れないように注意は必要です。