2006年5月にテレビで放送されたインゲンマメを使ったダイエット情報が原因で158名もの食中毒事故が起きたことがあります。
食材としてスーパーでよく見かけるインゲンマメですが、意外にも毒が含まれていることは余り知られていません。
この記事ではインゲンマメに含まれる毒の危険性と予防方法を紹介していきます。

インゲンマメの毒とは

どんな毒?

インゲンマメにはレクチンの一種であるフィトヘマグルチニンと呼ばれる有毒成分が含まれています。加熱せずに食べると下痢などの症状を起こすことで知られているこの成分はインゲンマメだけでなく他のマメ類にもごく微量ですが含まれています

レクチンって何?

レクチンとは多くの植物に含まれているタンパク質成分で腸の機能に著しい活性作用を及ぼすことで知られており、植物性の食べ物であれば基本レクチンが含まれています。
一般的に熱に強いとされていますがマメ科のレクチンは長時間熱を加え続ければ不活性化できることが分かっています。

フィットヘマグルチニンって何?

言葉にするのに苦労する名前のこの成分は多くのマメ類に含まれていて、特に赤インゲンに高濃度で含まれています。また白インゲンの場合は赤インゲンの約3分の1、ソラマメだと赤インゲンの5%~10%程度とされています。

食べるとどうなるの?

生のままや加熱不十分な状態でインゲンマメを食べると、食後2~4時間程度で吐き気や嘔吐、下痢、腹痛など消化器系の症状が表れます。しかし重症化することは少なくほとんどは数時間後には回復すると言われています。

また年齢や性別などに係わらず症状が表れ、症状の重さは食べた数に比例するとされ4~5粒程度で中毒となることがあります。

安全に食べる方法

水に浸してから加熱する

インゲンマメに含まれるレクチンはタンパク質のため加熱することで活性を失います。したがってマメを十分に水に浸した後、沸騰したお湯で柔らかくなるまでよく煮て中心部まで加熱することが大切です。

中途半端な加熱は逆効果になる

80℃以下で煮込んだ場合インゲンの中のフィットヘマグルチニンは生の状態よりも毒性が5倍にもなると示されていて、中途半端な加熱は逆に危険になると言われています。