居酒屋の定番メニューといえばホッケと言われるくらい働くサラリーマンにとっては身近で知られた魚です。
淡白な白身は煮ても焼いても美味しく、特に干物を炙り醤油をかけてご飯と一緒に口にかきこむと本当においしいですね。そこで今回は『ホッケに関わる寄生虫』を紹介していこうと思います。
シュードテラノーバ
ホッケにはシュードテラノーバ(Pseudoterranova)と呼ばれるアニサキスの仲間が寄生していることがあります。この寄生虫はアザラシやトドなど海生哺乳類が終宿主(しゅうしゅくしゅ:寄生虫が成虫にまで育ち卵を産む宿主))となり、それらの餌となる魚介類を待機宿主としていることで知られています。
体色は赤もしくは茶褐色、体長は1~3㎝程度とアニサキスよりもやや大きく、魚の内臓や筋肉内に潜んでいるため注意深くみてみると肉眼でも確認することが出来ます。
アニサキスと違い渦巻き状にはならず、また寒い地方の魚に寄生しているため日本では北海道で感染例が多く、その他の地方では少数とのことです。
ヒトに感染すると腹痛の原因となる
シェードテラノーバにヒトが感染すると食後2~10時間程度で強烈な腹痛や下痢、嘔吐、蕁麻疹などの症状が表れます。これはシェードテラノーバが胃や腸壁に侵入することで起きる病状であり、いわゆるアニサキス症と同様の症状です。ただアニサキスとは多少異なる点として腹部疼痛が多少軽く,嘔吐や吐き気が強いのが特徴といえます。
予防方法
生で食べる場合はマイナス20度以下で24時間以上の冷凍処理をすると死滅することが分かっています。また熱には弱いため60℃以上1分以上の加熱で中心部までしっかりと火を通すことも有効です。
調理時には内臓に寄生していることが多いため、魚をさばく場合はなるべく早く処理を行い寄生虫が筋肉に移動する前に終わらせましょう。また目視でも確認し手作業で取り除いていくことも有効です。
注意事項としてワサビや醤油、塩漬け、酢漬けなどでは寄生虫を殺すことはできないため過信しないようにしましょう。
ホッケの干物には寄生虫がいるの?
結論として寄生虫がいる可能性は大です。ただしそれはホッケの干物に関わらず天然物の食材を使用している加工食品であればどれでも可能性があるという事を覚えておいてください。
また先の予防方法の欄でも記載しましたが冷凍処理をすることでシェードテラノーバは死滅するため大半の干物は一度冷凍処理をされているためほぼ死滅していると言っていいでしょう。
微妙なのは冷凍処理の工程を挟んでいないタイプの干物の場合は寄生虫が生きて存在している危険性もないとは言い切れません。心配であれば冷凍処理をされているモノを選びましょう。