ブログを通して身近に存在する危険な毒を紹介していますが、筆者が知らない毒も本当に沢山あるということを改めて思い知らされます。そしてそれはヒトの生活圏に数多くの危険が潜んでいるという事でもあります。
今回は魚の毒、中でも食用として食べられている鯉に関しての毒を書いていきたいと思います。
鯉って食べてますか?
観賞魚として有名な鯉ですが。料理は食べられたことはあるでしょうか?日本では比較的釣りやすい淡水魚ですが家庭の食卓に並ぶ機会はそう多くありません。
というのも、長野県などの一部の県では鯉の養殖が盛んに行われており綺麗な水で育った美味しい鯉が食べられますが、通常の河川などで釣った鯉は泥臭さが多くお世辞にも美味しいとは言いにくいのが現状だからでしょうか…(筆者は釣り好きの友人がいるのですが鯉は頂いた経験がありません)
そういった経緯もあり鯉という魚は知名度の高さの割りには食用としての情報が少ないのが現状でもあります。そしてそれは同時に鯉に存在する危険な毒を知らずに食べてしまうリスクも多くはらんでいるという事になるのです。
鯉の毒を知ろう
では鯉に含まれる毒素を紹介していきましょう。鯉の有毒部位は胆のうです。 胆のうには、5a-シプリノール硫酸エステルという強力な毒成分が存在しています。
この 5a-シプリノール硫酸エステル を摂取(食べる)すると胃腸障害や胆機能障害、急性腎不全などの症状が表れます。主に嘔吐、下痢、腹痛から始まり黄疸、麻痺、痙攣などが表れ、重症化すると死亡する可能性すらある危険な毒なのです。実際に中国では過去に十数名の死者を出しているという統計もあります。
また厚生労働省の自然毒のリスクプロファイルでは下記のようにも紹介されています。以下引用
肝臓では細胞の変性や壊死を、腎臓では腎小球管や集合管を損傷し、さらに腎小球の濾過機能の減退による乏尿を引き起こす。その後、脳細胞の損傷、脳水滞留、脳の腫れ、心筋損傷など、神経系統や心臓血管系の異常を招き死亡する
厚生労働省 自然毒のリスクプロファイル :魚類:胆のう毒
なかなか恐ろしいことがかいてありますね…。これを読むと鯉毒がいかに危険なものであるかがうかがい知れます。今後食べるのを躊躇すらしてしまいそうです。
食中毒にならないためには
では鯉を食べたいと思ったときにどうすれば予防できるのでしょうか。まず第一に胆のうを絶対に食べない事です。
毒素である5a-シプリノール硫酸エステルは胆のうに存在しています。鯉を食べる際に胆のうを食べなければひとまず食中毒になるリスクはかなり低くなります。
上記の記述であえてリスクが低くなると書かせていただきました。これには理由があります。過去に鯉を食べて食中毒を起こした事例の中では、確かに有毒部位は胆のうなのですが、筋肉の部位を食べた事での中毒事故もある為です。その 原因としては鯉料理の代表格である、こいこく、あらい 、みそ煮などの料理を食べた際に食中毒となったようです。
このように危険部位を知っていたとしても食中毒事故を起こしてしまう可能性はゼロではありません。基本的には鯉を食べる際は個人ではなく専門店などでプロの方に捌いてもらうなどしたほうがいいでしょう。
また日本も含め古く東洋には鯉の胆のうには薬用効果があると信じられており、料理で出されたり、生で食べる習慣があるそうです。もし海外旅行先などで料理に出てきたとしてもできるだけ食べるのは避けたほうが無難でしょう。
でも鯉は美味しいという事をしってほしい!
とこれまで記事として鯉の毒の恐ろしさを書き綴って来ましたが、筆者は鯉料理が大好きです。特に新鮮な鯉を刺身で頂くと、歯ごたえのあるぷりぷりとした白身が大変美味です。他にも味噌で煮込んだ鯉こくや鯉のから揚げなど白身特有のさっぱりとした味わいのため色々な料理に生かすことが出来るのです。
鯉は危険な毒を持っていますが、非常に美味な味わいを持つ魚です。日本でも古くは紀元前から食べられてきた魚で祝事の席などでも出されてきた歴史ある食材なのです。郷土料理のなかでも鯉料理を見つけられた際はぜひ一度お立ち寄り頂きご賞味いただければと思います。(筆者は別段鯉料理の営業担当ではありません…)
今回は鯉の毒についての危険性をお伝えさせていただきました。身近には知らないだけで沢山の危険が存在しています。これからも身近に起きうる危険性を分かりやすく記事にして発信させていただきます。
この記事が皆様の生活の中で少しでも役に立てればと思います。最後まで読んでいただきましてありがとうございます。