キムチの画像

近頃『不衛生な環境で作られた外国産キムチの動画』が世界に拡散され話題になっているのをご存知でしょうか?。過去を振り返ればキムチは定期的にバッシングの対象になっている食品に思えます。(気のせいかもしれませんが…)
今回はそんなキムチが原因とされる寄生虫感染症を紹介していきます。

事例

1994年に20代の女性が『韓国産キムチを食べて寄生虫に感染する事例』が起きています。
この時女性は数日前から発熱と左上肢の痺れ感、さらには右腕の筋力低下といった症状がみられ、CT検査の結果脳に侵入した寄生虫によって引き起こされていることが分かったこともあり、脳有鉤嚢中傷(のうゆうこうのうちゅうしょう)と診断されました。
原因は豚の糞尿を肥料として使用していたことが原因ではないかと言われています。

2005年には韓国にて中国産キムチから寄生虫の卵が検出される問題も起きています。この時韓国政府は中国からのキムチの輸入を止め、日本国内でも大手量販店の一部店舗では中国産輸入キムチの撤去に踏み切っています。
原因として中国の一部で白菜に人糞を肥料に使っていたことが原因で寄生虫に汚染されたとみられています。
この時日本では検疫所において輸入時の検査強化及び都道府県によるすでに輸入された製品の検査を実施しています。

2021年3月には中国の動画サイトに、衝撃的な映像が投稿されて国内外で波紋が広がっています。内容は野外に設置された巨大な水槽に大量の白菜が黄土色の塩水に浸かっており、錆で黄褐色になったパワーショベルと一人の男性が裸でその中で作業しているというものです。
この動画の拡散後韓国では中国産キムチを避ける動きが出ているとのこと。

キムチに付いている寄生虫ってなに?

出典:東京都福祉保健局ホームページ

最初の事例で韓国産キムチが原因で感染した寄生中は『有鉤条虫』と呼ばれるもので主にブタを中間宿主として、ヒトが最終(固有)宿主となる、一般的な名称でいえばサナダムシと呼ばれているモノです。

この寄生虫は主にブタやイノシシの筋肉の中に潜んでいて、生の状態や加熱不足のブタ肉を食べることで人に感染するほか、豚の糞などに汚染された水や野菜なども感染源となります。
豚肉は必ず焼いて食べるようにと口を酸っぱくして言われているのはこういう理由があるからなんですね。

有鉤条虫はヒトのお腹の中で成虫にまで成長し、その体長は2m~5mとかなり大型の寄生虫の部類に入ります。寿命も3~6年ほどあり、その間お腹の中で巨大な虫が動いていると思うとゾッとしますね。

感染されたときの症状はどんなもの?

ヒトの体の中に入った有鉤条虫の幼虫は3~4か月ほどで成虫になり、その影響で腹部の膨慢感や悪心、腹痛や下痢、便秘といった消化器系の症状がみられます。この病気を有鉤条虫症(ゆうこうじょうちゅうしょう)と言い成虫が引き起こしますが病状自体はそれほど重度なものではありません。

ただし有鉤嚢虫(ゆうこうのうちゅう:有鉤条虫の幼虫のようなもの)の場合は寄生する臓器が様々で最も多いので皮下と筋肉、その他眼や脳、心臓、肝臓等いろいろな臓器に侵入し寄生した臓器によって病状が変わります。

中でも脳に侵入されると脳有嚢中症とよばれ非常に危険で痙攣や意識障害、脳膜炎、水頭症、局所的な神経障害など重度な病状が出る場合があるので注意が必要なのです。

予防方法

【冷凍処理をする】
豚肉をマイナス5℃以下の状態で4日間以上冷凍処理をする、もしくはマイナス15℃以下で3日間の冷凍処理、マイナス24℃以下であれば1日冷凍すれば嚢虫を死滅させることが出来ると言われています。

【加熱処理をする】
豚肉やイノシシ肉の生や不完全な加熱で食べるのを避ける事、海外では生水や生野菜が汚染されている危険があるため熱を加えずに食べることはしないようにする。

【海外製品に注意する】
海外輸入品の中には不衛生な環境で制作されたものがあるかもしれません。出所が信用できないものは口にしないようにしましょう。

まとめ

過去の事例で起きた寄生虫被害はキムチが直接の原因というわけではなく、その原料である白菜を作る工程などに問題があったケースが多々あるように見えます。つまりキムチ以外の他の食品であっても同様のことが起きる可能性があるという事ですね。

また今回紹介した有鉤条虫はブタ肉にも寄生しているためキムチだけ気を付けていても意味がありません。動物肉を食べる際は中心部までしっかりと火を通すことが肝心なのです。

日本では昔と比べて衛生環境が良くなっているため食べ物からの寄生虫被害が減ってきていますが、海外製品にはしっかりと注意を払っておく必要がありそうです。

<<参考文献>>

  • 上村清,井関基弘,木村栄作,福本宗嗣.寄生虫学テキスト(第3版).株式会社文光堂,2008
  • 堤寛.感染症大全.株式会社飛鳥新社,2020
  • 東京都福祉保健局、「有鉤条虫、条虫類」、(https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/musi/11.html)
  • NIID国立感染症研究所、「我が国における条虫症状の発生状況」、(https://www.niid.go.jp/niid/ja/allarticles/surveillance/2406-iasr/related-articles/related-articles-446/7213-446r04.html)