トウゴマ
外形 | |
一般名 | トウゴマ |
別名 | 蓖麻(ひま) |
和名 | 唐胡麻(とうごま) |
英名 | Castor bean palma christi |
学名 | Ricinus communis |
分類 | キントラノオ目・トウダイグサ科・トウゴマ属 |
形態 | 一年草(品種によっては多年草) |
大きさ | 草丈2~3m(熱帯地域では枯れることなく10mほどにもなる) 種子:2.5cm 径:90cm |
花期 | 時期:6~8月 季節:初夏~夏 |
原産国 | インド、小アジア、北アフリカなど |
分布地 | 本州(関東より西側)、四国、九州に分布している。 |
生育環境 | 日当たりの良く水はけがよい場所で気温が高い気候を好む。逆に寒さには弱い。 |
入手方法 | 暖かい地域であれば草地や草原などで野生化していることもあるため比較的容易に採取できる。 園芸店などで種子や苗を購入することができる。 |
価格 | 苗:500円~ |
花言葉 | 「いつもそばに」「魔除け」 |
誕生花 | なし |
危険度 | ★★★★★(猛毒) |
有毒成分 | リシン(ricin:タンパク質) リシニン(ricinine:アルカロイド) |
有毒部位 | 葉、茎など全草に有毒成分が含まれており、特に種子に多い |
中毒症状 | 吐気、嘔吐、下痢、血圧低下、重篤な場合腎臓・肝臓の機能障害、昏睡などで死に至る。 |
致死量 |
リシン:LDL0 300㎍/㎏(成人男子) |
食用部位 |
食べることはできない。 |
誤食部位 |
– |
備考 | ◆リシンはボツリヌストキシンなどとともに世界でもトップクラスの猛毒。 ◆やわらかい棘(とげ)のある果実を実らせる。 ◆種子には30%~50%程度の油分を含み、そこから精製されたものをヒマシ油(蓖麻子油)と呼び下剤や石鹸、潤滑油、塗料の染料、ポマード、プラスチックの原料、食用油の凝固剤など様々な製品に利用されている。 ◆古代エジプトでは6000年前から栽培されており下剤や光源用(灯り)に使われていたという記録がある。 ◆リシンは加熱することで分解されるためひまし油には毒素は含まれていないが種子の搾りカスには5%程度の割合で含まれている。 ◆種子を飲み込んだ場合殻が固いため中毒症状が表れない(表れるのが遅い)場合もあるとされている。 ◆観賞用としても近年人気があり「みずま」や「アパッチ」という品種を育てている人も多い。 |
トウゴマの毒性
◆世界三大毒素とか、5大毒とかの猛毒ランキングに毎回名前が入っている常連。
トウゴマはトウダイグサ科の一年草で別名をヒマ(蓖麻)と呼びます。果実の中にある種子は重量の50%ほどが油分であり、これを精製したものをヒマシ油とされています。
ヒマシ油の用途はインクや塗料、工業用製品・機械油・化粧品の原料など多岐にわたり、今でも世界中で年間100万トンが生産されており近代において重要な植物といえます。
◆過去には下剤や便秘薬、皮膚病などの薬用として使われていたが妊婦や生理中の女性は使用を避けていた。現在では毒性の強さからほとんど利用されていないという。
保有する毒の成分はリシンと呼ばれる毒性糖たん白質で、トウゴマの種子の中に含まれており、植物が作る自然毒の中でも屈指の猛毒と言われています。
リシンを含む種子を誤って食べると重度の中毒症状を引き起こすことが知られており、約1㎎/㎏(トウゴマの種子5~10粒ほど)の経口摂取(けいこうせっしゅ:口から食べること)で容易に死に至るとされています。また子供の場合より少ない摂取量でも命に関わるため悪戯などで触れないように、保管場所など取り扱いには注意が必要です。
ただしトウゴマの種子は固い殻に覆われているため、歯でかみ砕かなければ毒は出てこず症状が表れないこともあるとのことです。(だからと言って食べても問題ないということではありませんよ!)
◆リシンは暗殺に使われたり生物兵器の有力候補ともされている、近年では2013年にアメリカのオバマ大統領宛ての手紙からリシンの成分が検出されるという事件があった。
※ちなみにトウアズキから抽出できるアブリンやO-157のベロ毒素などもリシンと同じ作用を持つ。
◆吸入や非経口摂取の場合だと人体に与える毒性は1000倍にもなるとされている。
中毒症状
リシンはリボ毒とも呼ばれ細胞内に取り込まれるとリボゾーム機能不全(細胞死のようなこと)を起こします。主な症状は嘔吐や吐血(血の混じった嘔吐)、腹痛、下痢などの消化器系の症状が表れ、重度の場合血圧低下、幻覚、痙攣(けいれん)などの他、腎・肝臓の機能障害、循環虚脱などによって死に至ることもあります。
ちなみにリシンの解毒剤は存在しないため中毒症状になるとあとは自分との闘いとなります。くれぐれもトウゴマの種子を食べたりしないようにしましょう。
◆トウゴマの種子をネックレスとして首からかけ、傷口から有毒物質が入り死亡した事例もあるとのこと。
◆トウゴマよりもさらに強力な毒を持つ<トウアズキの記事>はこちら