皆さんはアフリカマイマイと呼ばれるカタツムリをご覧になったことはありますか?たびたびニュースやTV番組などで取り上げられる外国産の大きなカタツムリです。
カタツムリというとのんびり動いてかわいらしいイメージを抱きがちですが実はその体には非常に恐ろしい寄生虫が寄生している危険性が高いのです。
アフリカマイマイとはどんな生き物?
世界最大級の大型カタツムリ
元々は東南アジアなどの熱帯、亜熱帯地域に広く生息している大型陸棲貝類の一種(いわゆるナメクジ系)です。体長は大きな個体で20㎝以上にもなり世界最大級のカタツムリとされています。
日本では1930年代に食用として持ち込まれ、後に逃げ出したであろう個体が繁殖し1945年以降以降に野外に定着、今では沖縄、小笠原、奄美大島を始め宮古島、八重山群島等に分布、定着していると考えられています。
本土では過去に鹿児島で発見された事例がありますがその後駆除されており、アフリカマイマイが定着しているかは不明とのこと。
雑食で何でも食べる
落ち葉や昆虫や小動物の死骸、菌類、植物の茎や生葉、果実等時には石や砂、コンクリートまで好き嫌いなくあらゆるものを食べる雑食性のため農作物にも被害を与える厄介な存在です。
繁殖力が高い
非常に繁殖力が高い事でも知られていて、4㎜程度の卵を10日間間隔で数百~一千個近く産卵するため放っておくとどんどん増えていきます。また雌雄同体であり雄雌どちらでも生殖、産卵できる生き物です。
寄生虫の中間宿主
ニュースなどで一時期話題になりましたが、アフリカマイマイは広東住血線虫(かんとんじゅうけつせんちゅう)と呼ばれる寄生虫の中間宿主です。この寄生虫は人にも感染し、時に重度化し死亡することもあるためアフリカマイマイは別名「死のカタツムリ」とまで呼ばれています。また植物防疫法により分布地からの持ち出しは禁止されていますので注意しましょう。
広東住血線虫ってなに?
人に寄生する寄生虫
1945年に台湾で初めて報告されてから今日まで数千の感染例があります。元々の固有宿主はネズミ(ドブネズミやクマネズミ等)であり成虫はネズミの肺動脈に寄生しています。中間宿主のナメクジやカエル、淡水産のエビ、カニなどを介して幼虫を経口摂取(口から食べる事)などによってヒトへ感染します。
どんな病気になるの?
人が感染すると発症までは2~3週間程度といわれています。
幼虫が胃や腸の内壁を破り体内に侵入し血管などを通じ全身へ移動し、主に脊髄などの神経系に集まります。また脊髄から脳へと移動することで脳髄膜脳炎を発症することも。
主な症状は非常に強い頭痛と発熱、麻痺、昏睡、痙攣や神経系の異常の他、場所によっては後遺症などが残る場合もあるとのこと。これだけ見ると非常に危険な寄生虫だと分かりますね。死亡率は1~3%程度とされていますが絶対に油断できない寄生虫です。
感染予防のためにすること
アフリカマイマイには触らない
アフリカマイマイの体表や体液にも寄生虫が存在している可能性があります。大きなカタツムリを物珍しがって素手で触ったり、皮膚に接触しないように注意しましょう。特に子供は何でも触ろうとするので発生地域に行く場合は子供の行動に注意しましょう。
アフリカマイマイが徘徊した後に残る粘液が野菜についていると感染する危険性があります。生で野菜を食べる時は流水でしっかりと洗うようにしてください。
広東住血線虫は水中でも1週間以上生きる事ができるため、ネズミの糞や動物の死骸に汚染された生水を飲まないようにする事。
近年でもアフリカマイマイを生で食べて重度の障害の後に死亡した事例が海外で起きています。決して興味本位で口に近づけたり生で食べたりすることはやめるべきでしょう。
宿主であるアフリカマイマイが死ぬことで体外で出てくる場合もあります。死体のそばに近づいたり触れたりすることは極力避けるようにしましょう。
また接触した場合洗剤でしっかりとあらい清潔にしましょう。
アフリカマイマイ以外でも気を付けるべき
広東充血線虫が寄生しているのはなにもアフリカマイマイだけではありません。カタツムリや、ナメクジ、陸棲のカニやカエル、淡水にすむエビ等も素手で触ったり生で食べたりするのは絶対に避けるべきです。また手で触った後は必ず手洗いをし、しっかりと消毒しましょう。
また海外の寄生虫の流行している地域では生水、生野菜などは避け加熱もしくは煮沸するようにしましょう。