ハシリドコロ

一般名称 ハシリドコロ
別名 キチガイソウ、キチガイイモ、サワナス、オメキグサ、ホオズキグサ、ユキワリソウ
和名 走野老(はしりどころ)
英名 Japanese belladonna
学名 Scopolia japonica
分類 ナス目・ナス科・ハシリドコロ属
タイプ 多年生草本
大きさ 30~60cm
花期 3~4月
原産国 日本
分布 北海道を除く本州、四国、九州に広く分布している。
自生環境 山間部の日陰など湿り気のある場所に群生する。
入手方法 野草の苗を販売している園芸店で購入か、もしくは自生しているものを直接採取する。
購入価格 苗:600円~
花言葉 「沈黙」
誕生花 不明
危険度 ★★★★★ (5段階評価)
有毒成分 アトロピン(ヒオスチアミン)、スコポラミン
有毒部位 全草
中毒症状 アトロピン:瞳孔拡大、血圧低下、幻覚、興奮など最悪の場合死ぬこともある。
スコポラミン:瞳孔拡大、口内乾燥、異常興奮、言語障害など。
致死量 アトロピン:LD50 750㎎/㎏(ラット、経口)
スコポラミン:LD50 100㎎/㎏(人、経口)
食用部位 全て食べることができない。
誤食部位 若芽がフキノトウ、オオバギボウシに似ている。

どんな植物?

フキノトウにそっくり

早春になると雪解けの湿った土の中からフキノトウそっくりな芽を出します。その新芽はみずみずしく青々としており、いかにも美味しそうに見えるため山菜と間違って食べてしまう誤食事故が毎年起きているほどです。
ハシリドコロはスイセンと並んで毎年誤食による食中毒のニュースに登場するある意味有名な毒草でもあります。

名前の由来

ハシリドコロという名前は、この草を食べると気が狂ったように興奮し走り出す(暴れる?)ことから来ています。別名にキチガイソウオメキグサ(おめく:方言で叫ぶことの意味)などとかなり強烈な名前が付けられているのも納得がいきます。

幻覚や興奮を起こす強毒

ハシリドコロに含まれているアトロピンと呼ばれる成分はナス科の植物の中でも非常に強い毒性を持っていることで知られています。食べると30分~数時間で嘔吐や下痢、眩暈、瞳孔拡大、錯乱、幻覚や痙攣、異常興奮などの神経系に作用する中毒症状が起きます。
致死量は100~200㎎ほど、ハシリドコロ本体にアトロピンが1%含まれていると仮定すると100gほど食べると死ぬ危険性があるということです。大体10~15個くらいでしょうか、食べるとで危ないということですね。

さらにこの毒の怖いところは皮膚や粘膜からも吸収されてしまうという特性です。絶対に素手で触れたり、ハシリドコロを触った手で眼をこするなどしないようにしましょう。

事故事例

厚生労働省の自然毒のリスクプロファイルではハシリドコロの食中毒件数は平成23年~令和2年の10年間で3件(患者数8名)起きています。

1996年都内に住む親子が山菜取りに出かけイタドリと間違えてハシリドコロを採取し、自宅で調理し食べたところ家族4人に発熱や歩行困難などの症状が表れ病院で検査をうけ、うち2名は症状が重く入院した。

2015年に埼玉県に住む60代の男性がハシリドコロを食べられると思い、採取し自宅で湯がいて食べた後に寒気やふらつきなど体調を崩し病院に運ばれた。

2016年岐阜県に住む70代の女性が山林に生えていたハシリドコロを食べられると勘違いし調理して食べた後に痙攣や、意識障害などの症状が出て病院に運ばれた。

海外ではブルーベリーによく似たベラドンナの果実(アトロピンが含まれる)でフルーツパイを作り中毒事故が起きています。ハシリドコロも球形の果実が実りますが有毒なので絶対に食べてはいけません。

ベラドンナの花、ブルーベリーに似た実がなる