梅には有毒成分が含まれている

梅の果肉にはアミグダリンと呼ばれる成分が含まれていて、未成熟な青梅や種の核(仁や胚とも言うには特に多く含まれることが分かっています。
アミグダリンは青酸配糖体とも呼ばれそれ自体はヒトの体に対して害はありません。

青梅の説明イラスト

出典:絵/イラストメメ

しかし梅の果実に含まれるエムルシンと呼ばれる成分や腸の中に存在する腸内細菌の出すβ-グルコシターゼといった酵素によって分解されると「グルコース」「ベンズアルデヒド」「シアン化水素」にそれぞれ分解され人体に毒性を発揮し始めるのです。

中でもシアン化水素は毒性が強く腸管内から体内に吸収されることによって急性の中毒を引き起こすことで知られています。

中毒症状は摂取してから早ければ数分~数十分程度、遅くても2時間程度で発症し、主に頻脈や血圧上昇、頭痛やめまい、過呼吸に嘔吐、吐き気、昏迷、脱力感など重度の場合は徐脈、呼吸抑制、けいれん、意識障害、呼吸困難あるいは心臓麻痺になどにより死亡することがあるのです。

青梅なら300個は食べないと中毒にはならない

梅に毒が含まれていることは分かりました。ではどの程度梅や梅干しを食べると危険なのでしょうか?実は比較的有毒成分が多く含まれている青梅でも成人で300個程度、子供だと100個程度食べると危ないとされています。

もちろん中毒となる数は個人の体質や梅の品種、個体差などで変化しますが相当数を摂取しない限りは大丈夫なのです。ただ幼児などは数個の青梅を食べるだけでも中毒となる危険があるため誤って口にしないように取り扱いに注意が必要です。

◆木に実ったばかりの幼い梅の果実は通常の青梅に比べて保有する有毒成分の量が数倍から数十倍も多く含まれている。また種子の中の仁にはさらに濃い濃度のアミグダリンがあり数個でも食べると危ない。(通常は酸っぱくて食べられないが誤って口にしないようにすること)

完熟した梅や、梅干し、梅酒のように加工した製品の場合は梅に含まれるアミグダリンの多くが分解されており通常の摂取であれば心配する必要はないため安心して食べることができます。

したがって梅干しの種事態にはほとんど毒性はない(正確には加工段階で分解して消えている)ため誤って食べてしまったからと言って即座に健康被害が出るようなことはまずありません。